古プロイセン合同福音主義教会

古プロイセン合同福音主義教会：プロイセンにおける合同教会の歴史

古プロイセン合同福音主義教会（ドイツ語: Die Evangelische Kirche der altpreußischen Union）は、19世紀から20世紀にかけてプロイセンとその周辺地域に存在した福音主義教会です。ルター派と改革派の合同という特異な背景を持ち、激動の時代を乗り越えながら、その姿を変えていきました。本稿では、その成立から終焉まで、古プロイセン合同福音主義教会の歴史を詳細に解説します。

プロイセン合同福音主義教会の成立

1817年、プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム3世の号令の下、ルター派教会と改革派教会が合同し、プロイセン福音主義教会が誕生しました。これは、宗教改革以来、分裂していた両派の統一を目指すものであり、時代の精神に合致するものとされました。ただし、信仰告白の統合は強制されず、教会行政上の統合が主な目的とされました。

教会名称の変遷

プロイセン福音主義教会は、その歴史の中で何度か名称を変更しています。

1821年–1845年: プロイセン福音主義教会
1845年–1875年: プロイセン福音主義領邦教会
1875年–1922年: 古プロイセン州福音主義領邦教会
1922年–1953年: 古プロイセン合同福音主義教会
* 1953年–2003年:福音合同教会 (EKU)

これらの名称変更は、教会の組織や管轄地域の変化、政治情勢などを反映したものです。特に、1922年の古プロイセン合同福音主義教会への改称は、第一次世界大戦後の教会組織の民主化と深く関わっています。

ナチス・ドイツ時代

ナチス・ドイツの台頭は、古プロイセン合同福音主義教会にも大きな影響を与えました。ナチスは教会を統制下に置こうとし、教会内部にもナチス支持者が現れました。しかし、告白教会と呼ばれるキリスト者たちは、ナチスの圧力に抵抗し、信仰を守り抜きました。

1934年には、告白教会の指導者たちがバルメン宣言を発表し、ナチスのイデオロギーを拒否する姿勢を明確にしました。バルメン宣言は、合同教会の信仰告白文書とみなされ、その後の教会活動の指針となりました。

第二次世界大戦後の再編

第二次世界大戦後、ドイツの国境線が変更され、東プロイセンなどの地域が失われました。これにより、これらの地域に存在した教会共同体も解散を余儀なくされました。しかし、ドイツに残った教会指導者たちは、新たな教会組織を再建し、信仰の灯を絶やさぬよう努めました。

1945年以降、各教会州地区はそれぞれ独自の州教会を組織するようになり、それらを統括する上部組織として福音合同教会 (EKU) が発足しました。EKUは、ドイツ福音主義教会（EKD）にも加盟し、2003年まで存続しました。

礼拝式文

プロイセン合同福音主義教会には、フリードリヒ・ヴィルヘルム3世によって作成された礼拝式文が下賜されました。この式文は、ルター派教会の礼拝式に倣ったものであり、ローマ・カトリック教会のミサに準拠したものでもありました。ドイツ語での礼拝式文でしたが、宗教改革以前のミサ様式に戻ってしまったという指摘もあります。

まとめ

古プロイセン合同福音主義教会は、プロイセンにおけるルター派と改革派の合同という特異な歴史を持つ教会でした。その成立から変遷、ナチス時代の抵抗運動、そして第二次世界大戦後の再編を経て、福音合同教会へと発展しました。その歴史は、ドイツの宗教史における重要な一章であり、現代の教会にも多くの示唆を与えてくれます。

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