古川益雄

古川益雄：昭和の芸能界を彩ったプロモーター、作詞家

古川益雄（ふるかわ ますお、1920年または1921年 - 1991年10月30日）は、昭和の芸能界において、プロモーター、作詞家としてその名を刻んだ人物です。大阪を拠点とする芸能プロダクション「ターゲットプロダクション」の社長として、数々の才能を発掘、育成しました。

生涯と業績

古川は、井上靖の小説『闘牛』のモデルとなった小谷正一の側近としてそのキャリアをスタートさせました。その後、大阪初の本格的なナイトクラブ「クラブ・アロー」の支配人となり、そこで出会ったアイ・ジョージや坂本スミ子らの才能に目を付け、彼らを売り出すために「ターゲットプロ」を設立しました。

坂本スミ子の代表作『たそがれの御堂筋』は、古川が作詞を手掛けた作品です。また、今野勉の著書『テレビの青春』には、古川が一時期、大阪テレビの東京支社長を務めていたという記述も残されています。

1991年10月30日、古川は肝不全のため70歳で生涯を閉じました。

プロモーターとしての手腕

「ターゲットプロ」の社長として活動する傍ら、古川は永六輔のマネジメントも短期間担当していました。永は自著『昭和 僕の芸能史』の中で、「作詞家としての能力を引き出してくれたのは中村八大だが、タレントとしての才能を育ててくれたのは古川益雄だ」と語っています。永が当時隆盛を極めていた労音コンサートで司会を務めたのも、古川のプロモートによるものでした。

また、永が一時大阪に拠点を移したきっかけも、古川の「1年間大阪に住んでみたらどうや、大阪の芸能がわからなんだら、日本も世界も見えてきまへんでェ」という言葉だったと言われています。

1960年代後半には、大阪を拠点としたグループ・サウンズバンド、ザ・リンド&リンダースの結成にも深く関わりました。

競馬への情熱

古川は、芸能界での活動の一方で、競馬にも深い知識を持っていました。寺山修司や安部譲二の著作にもその名が登場し、安部は古川から興行の手ほどきを受け、自身の競馬の師と仰いでいました。

馬主としても知られ、1972年秋の読売カップなど、アングロアラブの重賞を3勝したジャズを所有していました。安部の証言によると、プロモーターとしての仕事がうまくいかない時期には、岸和田にあった春木競馬場で予想屋として生活を支えていたこともあったそうです。

まとめ

古川益雄は、その多岐にわたる才能と情熱で、昭和の芸能界に大きな足跡を残しました。プロモーターとして、作詞家として、そして競馬愛好家として、その名は今も語り継がれています。

参考文献

寺山修司 『競馬放浪記』 1982年 のち文庫
永六輔 『昭和 僕の芸能史』 1999年 のち文庫
安部譲二 『馬主だけに儲けさせるな　ウラ側から見た馬券術』 2005年
今野勉 『テレビの青春』 2009年

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