古市町 (前橋市)

群馬県前橋市に所在する古市町（ふるいちまち）は、同市の西部エリアに広がる地域名称です。この地名は、古市町に加え、古市町一丁目および古市町二丁目の範囲を含んでいます。郵便番号としては371-0844が使用されています。2013年時点における地域の総面積は約0.78平方キロメートルでした。

地理的には、前橋市街地から見て西側に位置し、前橋台地と呼ばれる地形の上にあります。地域の西側には一級河川である利根川が流れており、古市町はこの利根川の右岸、やや西寄りに展開しています。

古市という地名が記録に見られるのは江戸時代にまで遡ります。この地域の領有は時代によって変遷しており、当初は総社藩の所領でしたが、寛永10年（1633年）には高崎藩の支配下に移り、さらに明和4年（1767年）からは前橋藩の領地となりました。

明治時代に入り、近代的な市町村制度が施行されると、地域の大きな転換期を迎えます。1889年（明治22年）4月1日、町村制の施行に伴い、かつての古市村は、箱田村、前箱田村、川曲村、稲荷新田村、下新田村、上新田村、小相木村、後家村、江田村といった近隣の九つの村と合併し、新設された群馬郡東村の一部となりました。その後、1896年（明治29年）4月1日には、郡の再編（西群馬郡と片岡郡の統合）により、東村は引き続き群馬郡に所属することとなります。

昭和期に入ると、広域合併の流れの中で、1954年（昭和29年）4月1日、東村は元総社村、上川淵村、芳賀村、桂萱村、下川淵村といった五つの村と、群馬郡総社町とともに前橋市へ編入されることになりました。これにより、この地域は前橋市の古市町として新たな歩みを始めます。

前橋市への編入後も、住居表示の整備に伴う地域の区画変更が行われました。1974年（昭和49年）には、古市町の一部区域が石倉町一丁目へと組み込まれました。さらに1978年（昭和53年）には、古市町の一部が小相木町一丁目、新前橋町、下石倉町として分離される一方で、古市町、小相木町、石倉町のそれぞれ一部区域を合わせる形で古市町一丁目が新設されました。比較的新しい動きとしては、2016年（平成28年）に箱田町の一部が古市町一丁目に編入されたほか、同じ日には箱田町と古市町の各一部をもって古市町二丁目が新たに誕生しています。

古市という地名の起源については、諸説ありますが、明確な由来は分かっていません。しかし、有力な説として考えられているのは、現在の元総社町付近に古代の上野国府が置かれていたと推定されることとの関連です。国府の近くを通っていた東山道には「群馬駅（うまや）」と呼ばれる宿駅が設けられており、この駅に付随して定期的に市（市場）が開かれていた可能性があることから、「古い市」が開かれた場所、という意味で「古市」という地名が生まれたのではないか、という推測がなされています。

地域の世帯数および人口に関しては、2017年（平成29年）8月31日時点での集計が存在します。また、この地域にお住まいのお子さんが市立の小・中学校へ通う場合の学区も定められています。

交通網については、鉄道駅としてJR東日本の上越線と両毛線が乗り入れる新前橋駅が地域内にあり、交通の要衝となっています。路線バスも運行されており、住民の日常的な移動手段として利用されています。道路については、地域を縦断する国道はありませんが、前橋市と高崎市を結ぶ主要な県道である群馬県道12号前橋高崎線が地域内を通っています。

主な公共施設や商業施設としては、先述のJR新前橋駅のほか、ショッピングセンターであるフォレストモール新前橋などがあり、地域の生活を支えています。

本記事の情報は、「角川日本地名大辞典」編纂委員会が編集した『角川日本地名大辞典 10 群馬県』（角川書店、1988年刊行）などを参考に作成しています。

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