古村啓蔵

古村啓蔵—日本海軍の少将

古村啓蔵（こむら けいぞう）は、1896年7月20日に生まれ、1978年2月7日に亡くなった日本の海軍軍人であり、最終階級は海軍少将でした。彼は従四位・勲二等を有し、戦艦「武蔵」の第2代艦長として名を残しています。また、坊の岬沖海戦では軽巡洋艦「矢矧」に乗り込んで指揮をとり、勇敢な戦闘を展開しました。彼のあだ名は「両舷直の親玉」であり、海軍内での存在感を示しました。

経歴と業績

古村は長野県の生まれで、長野県立諏訪中学校を卒業後、海軍兵学校の45期に進学します。彼は89名中10位の優れた成績で卒業したものの、病気のため留年しているという経緯があります。彼の同期生には、坊の岬沖海戦を共に戦った森下信衛少将や戦艦「大和」の艦長であった有賀幸作大佐がいます。有賀の父は、古村の兵学校入学時の保証人だったことも出身地の結びつきを示しています。

古村はその後、海軍大学校甲種学生としての研修を経て、英国に駐在し教育局第二課長などを経て太平洋戦争が始まります。彼は重巡洋艦「筑摩」の艦長として真珠湾攻撃やミッドウェイ海戦に参加し、南太平洋海戦では負傷しながらも指揮を執り続ける勇猛さを見せました。

1943年、古村は戦艦「扶桑」の艦長を経て、翌年には「武蔵」の艦長に就任します。昭和天皇の「武蔵」行幸を迎えた後、連合艦隊司令長官と共にトラック諸島に赴きます。1944年には少将に進級し、様々な要職を歴任。特にマリアナ沖海戦や坊の岬沖海戦での指揮は著名です。

坊の岬沖海戦では、艦長としての責任を果たしつつ、戦闘が終息した後に部下に退艦を促しました。彼は艦に残りともに戦ったが、最後は海に投げ出され、漂流することとなりました。その後、駆逐艦に救助され生還し、終戦は横須賀鎮守府で迎えました。

人柄と評価

古村啓蔵は、底無し沼と称されるほどの大酒飲みであったとされ、その特性が留年の原因となっていました。しかし彼の人柄は非常に部下を思いやるものであり、沖縄特攻の直前には、部下に対し「最後まで助かる努力をせよ」と励ましの言葉をかけています。

結婚後は東京に住居を構え、長野県の生家がある辰野町は公民館に変わっています。彼は4人兄弟の長男で、米国仕込みの大酒飲みを誇る彼の兄、古村誠一も実業家として知られています。

戦後は、吉村昭の小説「戦艦武蔵」のイベントに参加したり、さまざまな文化活動にも関与しています。また、彼を演じた俳優本田博太郎は映画『男たちの大和』でその役を担いました。

古村啓蔵の生涯は、日本の海軍の激動の時代を象徴するものであり、彼の勇敢な行動と人望は、彼の名と共に語り継がれています。

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