森下信衛

森下信衛

森下信衛（もりした のぶえ、1895年2月2日 - 1960年6月17日）は、日本の海軍軍人であり、最終階級は海軍少将です。愛知県出身で、旧制明倫中学校を経て海軍兵学校を卒業しました。戦艦榛名や大和などの艦長を歴任し、坊ノ岬沖海戦では第二艦隊参謀長として参戦、数少ない大和沈没時の生存者の一人です。孫には海上自衛隊の幹部である舩木洋海将がいます。

人物像

森下は、日本海軍の中でも屈指の操艦の名手として知られていました。戦艦大和艦長時代には、僚艦の武蔵との衝突を間一髪で回避したエピソードや、レイテ沖海戦では巧みな操艦で被害を最小限に抑えた逸話が残っています。また、防空指揮所では防弾チョッキも着用せず、葉巻をくわえながら指揮を執っていたという伝説も残っています。部下に対しては親しみやすく、冗談や洒落を飛ばすなど、従来の軍人のイメージとは異なる一面も持ち合わせていました。

レイテ沖海戦

レイテ沖海戦では、大和は常に攻撃の的となりましたが、森下の操艦により魚雷は一本も命中せず、命中した爆弾も軽微なものにとどまりました。この時、森下は「自分をなくして無心となり、明鏡止水の境地になるように努めていると、次第に7万トンの大艦が駆逐艦同様に小さく見えるようになって、自由に安心して操艦することができた」と述べています。また、同海戦で腹痛を起こした見張員をいち早く気づき、手術を受けさせたことで命を救ったというエピソードも残っています。

坊ノ岬沖海戦

坊ノ岬沖海戦では、第二艦隊参謀長として大和に乗り込みました。沈没時には艦橋に残っていましたが、爆発によって海に投げ出され、意識不明のまま漂流していたところを救助されました。この海戦の前日、駆逐艦長に自身のトランクを託し、死を覚悟していたとも言われています。

海戦中、森下は敵機の攻撃を見て「みごとなもんだ。あのとき（レイテ沖海戦）より、確実に腕が上がっとる。」と発言したとされます。また、大和の傾斜が復元困難になった際には、有賀艦長に「今となっては、艦の傾斜を復元するために、敵の魚雷を右舷に命中させるにしかず」と進言しました。総員退去の命令を発する際、「貴様たちに責任はない。生きろ、生きぬくんだ。まだ働かなければならないことが沢山ある。今死んでどうする。」と部下を鼓舞しました。

戦後

戦後は呉地方復員局長官を務めましたが、その後故郷に戻り、静かな生活を送りました。元部下が訪れた際には、自ら育てた果物を振る舞うなど、温厚な人柄がうかがえます。1960年に65歳で亡くなりました。

年譜

1895年（明治28年）2月2日 - 愛知県常滑市にて出生
1917年（大正6年）11月24日 - 海軍兵学校卒業（45期）
1929年（昭和4年）11月30日 - 海軍少佐に任官、海軍大学校入校
1931年（昭和6年）11月27日 - 海軍大学校卒業（29期）
1931年（昭和6年）12月1日 - 駆逐艦夕月艦長
1935年（昭和10年）11月15日 - 海軍中佐に任官
1938年（昭和13年）12月1日 - 海軍大学校教官
1939年（昭和14年）11月15日 - 海軍大佐に任官
1940年（昭和15年）10月15日 - 第8駆逐隊司令
1941年（昭和16年）9月1日 - 軽巡洋艦大井艦長
1942年（昭和17年）4月25日 - 軽巡洋艦川内艦長
1943年（昭和18年）6月14日 - 戦艦榛名艦長
1944年（昭和19年）1月25日 - 戦艦大和艦長
1944年（昭和19年）10月15日 - 海軍少将に任官
1944年（昭和19年）1[[1月25日]] - 第2艦隊参謀長
1945年（昭和20年）9月15日 - 呉海兵団長
1945年（昭和20年）11月30日 - 予備役
1946年（昭和21年）2月27日 - 呉地方復員局長官
1947年（昭和22年）11月28日 - 公職追放仮指定
1960年（昭和35年）6月17日 - 死去。享年65。

森下信衛を演じた人物

石坂浩二（『戦艦大和』、1990年）
勝野洋（『男たちの大和』、2005年）

脚注

※ 本記事は、公開情報を基に作成されています。

関連項目

* 大日本帝国海軍軍人一覧

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