古畑正秋

古畑正秋（1912年9月18日 - 1988年11月23日）は、日本の天文学者で、東京大学東京天文台の元教授です。長野県諏訪郡落合村（現在の富士見町）に生まれ、旧制松本高等学校理科甲類を経て、1938年に東京帝国大学理学部天文学科を卒業しました。

卒業後、古畑はハーバード大学天文台で助手として勤務し、プログラムによる測定や計算業務に従事しました。1941年に帰国してからは、東京大学東京天文台の助手となり、1958年に教授に昇進。1968年には台長も務めました。在任中、野辺山宇宙電波観測所や木曽観測所の設置に尽力し、日本の天文学の発展に大きく貢献しました。

古畑は、特に夜天光研究の権威として知られており、その分野で多くの業績を残しました。また、アマチュア天文家への指導にも熱心で、変光星観測の指導を通じて、多くの天文ファンを育成しました。1973年に東京大学を退官しましたが、その後も天文学の普及に努めました。

古畑の門下からは、北村正利や田鍋浩義といった著名な天文学者が輩出されています。

古畑が発見した主な変光星

はくちょう座V403星（V403 Cyg）: 周期0.80477日で11.8等星から12.3等星の範囲で光度が変化する食変光星。鈴木敬信と共同で発見。
ペルセウス座DM星（DM Per）: 周期2.727748日で8.0等星から8.7等星の範囲で光度が変化するアルゴル型の食変光星。
こぎつね座V336星（V336 Vul）: 周期140日で7.7等星から9.6等星の範囲で光度が変化するSRB型の脈動変光星。和久田実と共同で発見。

著書

古畑は、数多くの著書を通じて、天文学の知識を広く一般に普及させました。主な著書には、以下のものがあります。

単著
『宇宙・星座』（毎日新聞社、1952年）
『天体観測入門・黄道光と對日照の観測』（恒星社厚生閣、1955年）
『初歩の天文ハンドブック』（山海堂、1959年）
『太陽系・黄道光と対日照』（恒星社厚生閣、1963年）
『地球の物理・極光と夜光』（恒星社厚生閣、1965年）
『電波天文学・電波による流星の観測』（恒星社厚生閣、1965年）
『天体の物理観測・転貸観測における光の増幅』（恒星社厚生閣、1965年）
『星座12ヶ月』（誠文堂新光社、1974年）
『星と宇宙』（東海大学出版会、1977年）
『星座・星月夜』（作品社、1992年）
『星空の12ヶ月』
『来し方の記』
共著
『地球天文事典』（平凡社、1958年）
監修
『宇宙・星と観測』（小学館、1975年）
『天文観測辞典』（地人書館、1977年）

参考文献

続 日本アマチュア天文史編纂会 編『続 日本アマチュア天文史』恒星社厚生閣、1994年
日本アマチュア天文史編纂会 編『日本アマチュア天文史』恒星社厚生閣、1995年
荻上悦子『春寂寥-旧制松本高等学校人物誌』長野日報社、2008年

古畑正秋は、天文学の研究と教育に多大な貢献をした人物として、その名は長く記憶されるでしょう。

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