古谷重綱

古谷重綱（ふるや しげつな）

1876年6月12日、愛媛県に生まれた古谷重綱は、大正・昭和初期にかけて活躍した外交官です。同志社を卒業後、アメリカのミシガン大学で学び、帰国後は国民新聞社に勤務しました。1902年に外交官試験に合格し、外交官としてのキャリアをスタートさせます。

外交官としての活躍

外務省では通商局長を務めた後、メキシコ駐在、そしてアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイの特命全権公使を歴任しました。アルゼンチンでは、在留邦人の世話をよく行い、「平民公使」として親しまれました。この愛称は、彼の親しみやすい人柄と、在留邦人に寄り添う姿勢から生まれたものでしょう。

ブラジルでの生活

1928年、官を辞した古谷はブラジルに移住し、80アルケールス（約200ヘクタール）もの広大な農場でコーヒー栽培や養蚕業を営みました。この農場経営には、愛媛県出身の村井保固や佐々木長治らが資金協力を行っています。古谷は、一時的な成功を求めて帰国するのではなく、永住を前提とした移住を推奨しました。また、社会事業にも積極的に関わり、同仁会理事長や在伯日本人文化協会長、日本病院建設委員会委員長など、多岐にわたる役職を担いました。さらに、サンパウロ大学で講師を務めるなど、教育普及にも貢献しています。

戦後の活動と晩年

太平洋戦争後は、認識派の立場から在留邦人を指導しました。1946年には、臣連特攻隊に襲撃されるという危機に見舞われましたが、幸いにも難を逃れました。1967年、91歳でその生涯を閉じ、その功績を称えられ、勲二等旭日重光章が贈られました。

親族

古谷の親族には、兄の古谷久綱（内閣総理大臣秘書官、衆議院議員）、息子の古谷綱武（文芸評論家）と古谷綱正（ジャーナリスト）がいます。また、妻の父である室田義文はメキシコ公使やペルー公使、貴族院議員を務め、義弟の鈴木榮作は香港総領事やシドニー総領事を務めました。さらに、実業家の山下亀三郎は従叔父にあたります。

古谷重綱は、外交官として国際舞台で活躍する一方で、ブラジルでの農場経営や社会貢献活動を通じて、多くの人々に影響を与えました。その生涯は、国際的な視野と地域社会への貢献の両立を体現していると言えるでしょう。

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