古賀米吉

古賀米吉：教育への情熱と地域への貢献

古賀米吉（こがよねきち）は、1891年（明治24年）3月22日に福岡県三井郡（現在の小郡市）で生まれ、1983年（昭和58年）6月7日に92歳で生涯を閉じた、日本の教育者です。彼は、学校法人市川学園の創立者として、その名を広く知られています。

幼少期から教育者への道

古賀は9歳の時に父親を亡くし、経済的に厳しい母子家庭で育ちました。1915年に福岡師範学校二部を卒業後、経済的な理由で上級学校への進学を諦めざるを得ませんでしたが、小学校教員として働きながら学費を工面しました。27歳で上京し、1922年に旧制東京外国語学校英語科（現在の東京外国語大学英文科）を卒業。その後、府立四中（現在の都立戸山高校）の英語教師、主任として教鞭を執る傍ら、1930年には39歳で東京帝国大学文学部社会学科を卒業しました。

府立四中を退職した理由は、息子の正一氏によると、当時の教育方針に疑問を抱いたためでした。その後、2年間英米に留学し、新教育運動が盛んなイギリスで、パブリックスクールのイートン校の教育理念に感銘を受けました。この経験が、後の教育活動に大きな影響を与えました。

市川学園の創設と教育理念

イギリス留学から帰国後の1937年、古賀は旧制市川中学校を創設しました。彼の教育理念の根幹には、生徒が自主的に学ぶ「第三教育」がありました。これは、イートン校の教育理念に触発されたもので、生徒の自主性を重んじ、自ら学び、考える力を育むことを目指しました。また、1945年には船橋高等女学校（現在の東葉高等学校）の校長にも就任し、女子教育にも尽力しました。

地域社会への貢献

教育活動に加えて、古賀は地域社会への貢献にも熱心でした。1951年には市川善行会の初代会長、1964年には市民団体「江戸川を守る会」の初代会長を務め、地域の環境保全や文化向上に尽力しました。これらの活動が評価され、1994年には市川市から名誉市民の称号を贈られています。

受章歴と晩年

古賀の教育への貢献は高く評価され、1962年に藍綬褒章、1965年に勲四等瑞宝章、そして1983年には従五位勲四等旭日小綬章を受章しました。1983年6月7日、92歳でその生涯を閉じましたが、彼の教育理念は、長男の古賀正一氏（当時東芝部長）が学園理事長の地位を引き継ぎ、現在も市川学園に受け継がれています。

関連事項

市川中学校・高等学校
東葉高等学校
江戸川
古賀正一：古賀米吉の長男。東芝副社長、市川学園二代目理事長。

古賀米吉は、その教育への情熱と地域社会への貢献を通じて、多くの人々に影響を与えた偉大な教育者でした。

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