古鷹型重巡洋艦

古鷹型重巡洋艦

古鷹型重巡洋艦は大日本帝国海軍の一等巡洋艦として設計された艦級で、同型艦は「古鷹」と「加古」の2隻です。これらの艦は太平洋戦争の緒戦において重要な役割を果たしましたが、いずれも1942年に戦没しました。

背景

第一次世界大戦後、日本海軍は5500トン型の軽巡洋艦の建造を進めましたが、その武装は限られていました。そのため、アメリカのオマハ級やイギリスのホーキンス級に対抗するため、平賀譲造船官による新しい艦級の設計が進められました。結果、常備排水量7100トン、20 cm砲6門を備えた偵察巡洋艦の建造が決定され、1922年に設計が進みました。これにより、さらなる性能向上が図られました。

古鷹型は二等巡洋艦（軽巡洋艦）を基にしていましたが、小型の艦体に高い武装能力を持たせた点が特徴です。また、起工時には加古が川内型軽巡洋艦として計画されていましたが、建造が中止となり、古鷹型に流用された経緯があります。

艦型の特徴

古鷹型はワシントン海軍軍縮条約の影響を受け、基準排水量10,000トン以下の艦艇が重巡洋艦とされました。このため、艦は小型でありながらも優れた武装を搭載するよう設計されました。具体的には、艦首に鋭いデザインを施し、主砲の配置も工夫されました。艦橋には初めて塔型艦橋が採用され、排煙の問題も改善されました。

兵装

主砲に採用された50口径の三年式20 cm砲は人力装填方式で、発射速度や弾薬の運搬に関して課題がありましたが、比較的高い射撃能力を持っていました。また、対空支援として8 cm高角砲が搭載され、攻撃機や爆撃機に対抗する戦力が確保されていました。

水雷兵装としては、艦内に61 cm連装魚雷発射管が設置され、航空兵装も考慮されていましたが、その運用方法には限界がありました。設計段階での防御性能も優れており、水線部には厚い装甲が施され、主要な弾薬庫も防護されていました。

機関と性能

機関には最新型の水管缶が採用されましたが、初期の技術力不足によりトラブルがありました。それでも、各艦は最大速度35.5ノットを発揮し、非常に高い機動性を持ちました。加古型艦と比べて推進機関に異なる設計がありましたが、出力に関しては高い数値を維持していました。

後年の改装

竣工後、カタパルトの装備や高角砲の改良が行われ、艦は青葉型と同様の装備に近づく形で改装が施されました。大改装によって、船体強度は維持され、新たな主砲も導入されました。これにより、装甲や武装の性能が向上し、戦術的な運用の幅も拡がりました。

評価と最後

戦中、古鷹型はその特異な設計と性能から高い評価を受けましたが、一方で居住性が悪い点に関しては艦長から文句が上がることもありました。艦は戦局の変化の中で運命を共にし、1942年に戦没しました。

古鷹型重巡洋艦は、当時の海軍戦力や設計思想を象徴する重要な存在であり、近代巡洋艦の発展に影響を与えた艦艇といえます。

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