只埜榛奈

只埜榛奈（ただのはるな）氏は、1995年 4月23日生まれ、宮城県出身の元女子プロ野球選手です。現役時代は主に内野手（三塁手）として活躍しましたが、投手としての経験も持ちます。引退後は指導者として活動しており、現在は監督を務めています。ニックネームは「はるちゃん」でした。

来歴

野球との出会いと中学での活躍

只埜氏は、兄の影響を受けて小学4年生の頃に地元・宮城県の少年野球団「松山シャークス」で野球を始めました。チームでは遊撃手や投手としてプレーし、才能の片鱗を見せます。

中学進学にあたり、男女間の体力差から野球継続に悩む時期もありましたが、少年野球時代の監督の励ましを受けて、松山中学校でも野球部に入部しました。2年生の夏以降には主将を任されるなどリーダーシップを発揮し、2010年 3月に開催された東北中学校選抜野球大会では、女子選手として初めて宮城県選抜に選出されるという快挙を成し遂げました。

ソフトボールへの転向とプロへの道

中学卒業後、女子野球が続けられる環境が限られていたため、ソフトボールへの転向を決意します。宮城県の聖和学園高等学校に進学し、ソフトボール部でインターハイや国体に出場しました。卒業後、大学からソフトボールの推薦を受けるチャンスもありましたが、周囲の後押しもあり、女子プロ野球選手を目指すことになります。入団テストを経て、念願のプロ入りを果たしました。

女子プロ野球選手としてのキャリア

育成球団レイアでの成長

2014年、プロ生活をノース・レイアでスタートさせました。開幕当初は控えでしたが、プロ初打席で初安打を放ったことを機に出場機会を増やし、シーズン中盤以降は三塁のレギュラーに定着しました。三塁手として17試合、指名打者として10試合に先発出場。また、投手としても5試合に登板し防御率2.33を記録するなど、高卒1年目ながらチームに欠かせない存在となりました。

2015年にはチーム名が東北レイアに変更され育成球団として再出発。大幅な選手の入れ替えがある中、年上の堀越美紀氏に次ぐ立場で副主将を務め、6人の高卒ルーキーを迎え入れました。公式戦は年間9試合に激減しましたが、その全てでフルイニング出場を果たし、打順は3番または5番を任され、チームトップの打率.280を記録しました。しかし、ジャパンカップ出場は叶いませんでした。この年、3月28日発売の『女子プロ野球Walker 2015』の表紙を飾っています。

トップチームでの活躍と移籍

2015年末、「2016年チーム体制発表」において、東北レイアで2年目を終えた選手はトップチームへ昇格することが発表され、只埜氏は岩田きく氏と共に京都フローラへ移籍しました。背番号はルーキー時代と同じ29に戻りました。3月26日のホーム開幕戦では移籍後初安打・初打点を記録。5月2日には移籍後初登板も果たしました。三塁手としてレギュラーに定着し、オールスターゲームのファン投票では内野手部門5位で選出。8月11日のオールスターゲームでは8番三塁でフル出場し、2安打（二塁打含む）を放ちました。

その後、プロ4年目の2017年には埼玉アストライアへ移籍（背番号15）、2018年には愛知ディオーネへ移籍（背番号は15継続）と所属球団を移しました。愛知ディオーネ所属時の2018年には、三塁手としてゴールデングラブ賞を受賞するなど、高い守備力も評価されました。

2019年シーズンからは再び埼玉アストライアに所属しましたが、同年11月1日、このシーズン限りでの女子プロ野球リーグ退団が発表されました。

プロ退団後の活動と指導者へ

女子プロ野球リーグ退団後の2020年2月16日、新たに結成された東海NEXUSの初代メンバー、そしてキャプテンとして活動することが発表されました。このチームでの背番号は6となりました。選手として活動を続け、2023年9月には女子野球日本代表に選出され、広島県で開催されたワールドカップB組に出場しました。

2024年、現役引退を公表するとともに、翌シーズンから東海NEXUSの監督を務めることが発表され、指導者の道を歩み始めています。

選手としての特徴

身長は158cmと大柄ではありませんが、強靭な下半身が生み出す鋭い打球が持ち味でした。特に変化球への対応に優れていました。守備面では主に三塁を守り、強い打球への優れた反応と遠投76mの強肩を武器としていました。

主な記録と表彰

打撃記録

初出場：2014年4月11日対埼玉アストライア第1戦（明治神宮野球場）、7回表に代走で出場
初打席・初安打：2014年4月12日対埼玉アストライア第2戦（明治神宮野球場）、5回裏に代打で出場、左前安打
初先発出場・初打点・初盗塁：2014年5月9日対埼玉アストライア第5戦（川口市営球場）、7番三塁で先発出場、2回表に適時安打、その後二盗

投手記録

初登板：2014年5月24日ティアラカップ埼玉浦和大会1回戦対京都フローラ（市営浦和球場）、5回表途中2番手で救援登板
初ホールド：2014年5月25日ティアラカップ埼玉浦和大会3位決定戦対兵庫ディオーネ（市営浦和球場）、3回裏2死2番手で救援登板、2回1/3無失点
初奪三振：2014年7月20日対埼玉アストライア第14戦（市営浦和球場）、7回表に記録

表彰

2018年ゴールデングラブ賞（三塁手）

代表歴

2024 WBSC女子野球ワールドカップ

背番号

29 (2014年、2016年)
33 (2015年)
15 (2017年 - 2019年)
6 (2020年 - )

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