可翁

可翁（かおう、生没年不詳）は、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて活躍したとされる画人です。黙庵（もくあん）などと共に、日本の初期水墨画を代表する存在として、その名を知られています。

可翁の出自については、作品に押捺されている印章の解釈に基づき、二つの説が存在します。

絵仏師説
一つは、「可翁」の朱文方印の下に「仁賀」と判読できる小さな朱文方印が押されていることに着目し、「可翁仁賀」という名の詫磨（たくま）派の絵仏師とする説です。この説では、「賀」の字が詫磨派の絵仏師に多く見られることから、可翁を絵仏師であると推測しています。
禅僧説
もう一つは、「可翁」の印章の方を重視し、可翁宗然（かおうそうねん）という禅僧とする説です。この説によれば、可翁は筑後国（現在の福岡県の一部）出身で、建長寺の南浦紹明（なんぽじょうみょう）に師事した後、元応2年（1320年）に元（当時の中国）に渡り、中峰明本（ちゅうほうみょうほん）や古林清茂（こりんせいも）らに参禅したとされています。嘉暦元年（1326年）に帰国後、博多崇福寺（はかたそうふくじ）や京都万寿寺（きょうとまんじゅじ）、建長寺、南禅寺（なんぜんじ）に入寺し、貞和元/興国6年（1345年）に示寂したと伝えられています。宗然は当時の禅宗界において非常に重要な人物であり、同時代の記録も多く残っていますが、彼が絵を描いたことを示す史料は発見されていません。

代表作

(作品画像)
(作品画像)
(作品画像)

参考文献

海老根聰郎 『日本の美術333 水墨画─黙庵から明兆へ』 至文堂、1994年 ISBN 978-4-784-33333-2

外部リンク

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