台北府城東門

台北府城東門、正式名称を景福門というこの門は、かつて存在した台北城の東門として、台北市の中心部に位置しています。中山南路と信義路が交差する場所にあり、MRT中正紀念堂駅から徒歩5分ほどの距離にあります。この門は、国の第一級古蹟として認定されており、歴史的な価値が非常に高い建造物です。

しかし、現在の東門は、中国国民党政権によって改修されたもので、建設当初の姿とは異なっています。清朝時代に建設された当初の門は取り壊され、新たに中国北方の建築様式を取り入れて再建されました。石材、レンガ、木を材料として使用し、重厚な雰囲気を醸し出しています。

東門の呼称は資料によって異なり、中華民国の文化部文化資産局では史跡登録名として「台北府城門－東門」と表記しています。また、台北に関する文脈では、単に「東門」と呼ばれることも一般的です。日本統治時代には、東を向いていることから「照正門」という名称も用いられていました。

東門は2層構造になっており、下層部は門としての機能を持ち、通り抜けが可能でした。しかし、現在はロータリーの中央という特殊な場所に位置し、周囲がフェンスで囲まれているため、一般の立ち入りはできません。

この門は、清朝時代の1879年から1884年にかけて建設されました。当時、台湾北部の重要拠点であった基隆へと続く道に位置していたため、特に力を入れて建設が進められました。かつての写真を見ると、現存する北門と同様の様式で建てられていたことが分かります。しかし、東門には側面に3つの窓が設けられていた点が異なっています。

日本統治時代には、市壁は撤去されましたが、東門自体はそのまま残されました。第二次世界大戦後、中華民国政府によって1966年に改修が行われましたが、この改修は実質的に建て替えに近いものでした。その結果、東門は原型を留めない姿となり、上部には国民党の党徽が取り付けられました。この党徽は、1982年に当時の台北市議会議員であった陳水扁氏らによって指摘を受け、2009年6月12日に台北市文化局の決定により撤去されました。

1998年9月3日には史跡として保護されることとなり、現在では、現存する4つの門（北門、小南門、南門、東門）の中で、北門と並んで特に有名とされています。

東門の周辺には、総統府、凱達格蘭大道、中正紀念堂といった、台北を代表する重要な施設や名所が点在しており、観光の拠点としても非常に便利な場所です。

現在、この門は歴史的な価値と、中国と台湾の歴史が交錯した場所として、多くの人々に親しまれています。かつての姿とは変わってしまいましたが、それでもなお、台北の歴史を物語る重要なモニュメントとして存在し続けています。

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