台北捷運環状線

台北捷運環状線：都市を結ぶ環状鉄道の詳細解説

台北捷運環状線は、台北市とその周辺の新北市を結ぶ鉄道路線であり、両都市の交通網を大きく変える役割を担っています。この路線は、台北市内の士林区、中山区、内湖区、松山区、信義区、文山区と、新北市内の新店区、中和区、板橋区、新荘区、五股区、蘆洲区、三重区を結び、都市部を環状に繋ぐことで、放射状に広がる既存路線との接続を強化します。

計画と建設の経緯

環状線の計画は1987年に始まりましたが、中央政府によって二度にわたり却下され、2000年代に再始動しました。約10年の歳月をかけて建設が進められ、2020年1月に第1期区間が開業しました。この路線は標準軌の鉄輪式を採用しており、無人運転システムが導入されています。車両はイタリアのアンサルドブレーダ（現・日立レール）製です。

環状線は4つの区間で構成され、既存の路線や建設中の路線と接続する計画です。2020年に開業した第1期西環段は、新店区、中和区、板橋区、新荘区を東西に横断しており、そのほとんどが高架線となっています。第2期（北環段と南環段）と第3期（東環段）は地下線となる予定です。東環段は、内湖科技園区の通勤事情を改善し、信義区の交通を円滑にすることを目的としています。

特徴的な構造

中和区内には、市道106号線が狭いため、複線高架橋ではなく、単線2層の高架橋が建設されました。これにより、中和、橋和、中原の3駅が二重高架駅となり、中原駅の西側や景平～景安間では、台64線（八里新店快速道路）の高架道路の上下線間に橋脚が設置され、さらにその上に高架桁が架設されています。このような二重高架や、同一事業者路線同士の改札外乗り換えは、台湾では初の試みです。

運営の変遷と帰属

第1期区間は新北市内のみを通るため、「新北捷運環状線」と表記されることもありましたが、運営は台北捷運が担当していました。しかし、建設費は新北市政府が負担し、建設監督や入札業務は台北市政府捷運工程局が行っていました。2019年元日から3年間は台北捷運公司が運営を担当していましたが、2023年5月23日に新北捷運公司に移管されました。この移管に伴い、運賃水準は据え置かれ、台北捷運の既存路線との乗り換えも従来通り通算されます。

沿革

- 2003年2月：全線環境アセスメントが通過。
- 2004年3月：西環段の路線計画が承認。
- 2004年12月：財務計画とBOT方式採用が決定。
- 2005年3月：台北県政府が建設主体となることに同意。
- 2006年4月：BOT方式を断念し、自主建設に切り替え。
- 2006年7月：台北市政府と台北県政府が台北市政府捷運工程局による建設に合意。
- 2006年11月：台北市が主管機関を引き継ぎ、台北捷運公司が運営することで合意。
- 2008年10月：14駅の駅名が正式決定。
- 2009年3月：アンサルドブレーダが機電工程を受注。
- 2011年5月：西環段が起工。
- 2014年7月：試作車両が公開。
- 2016年8月：量産車両が落成。
- 2017年10月：橋桁が全て連結。
- 2020年1月：西環段が開業。
- 2024年4月：花蓮地震により一部区間が被災し運休、後に仮復旧。
- 2014年～2023年：南北環段の計画が進展、建設工事開始。
- 2018年～2023年：東環段の計画が進展、建設工事開始。

公共芸術

環状線の各駅や橋梁には、フランス人アーティスト、エマニュエル・ムホーの意匠が採用され、各駅ごとに異なるテーマカラーが設定されています。

運賃と乗り換え

環状線内での運賃は距離に応じて計算され、板橋駅や新埔民生駅で板南線に乗り換える際には、改札外乗り換えが可能です。20分以内かつICカード利用であれば、乗り換え前後での乗車距離を通算する特例があります。

車両

第1期開業時には、日立レールイタリア製の4両編成の無人運転対応小型車両が導入されました。第2期延伸用には、アルストム製のメトロポリスシリーズが導入される予定です。

駅一覧

環状線には複数の駅があり、その多くが他の路線との乗り換えが可能です。

（※建設中または計画中の駅は灰色背景で表示）

まとめ

台北捷運環状線は、台北と新北を結ぶ重要な交通インフラとして、人々の移動を支えています。最新技術の導入や複雑な経緯、運営体制の変遷など、多くの要素が組み合わさったこの路線は、台湾の都市交通の発展を象徴する存在と言えるでしょう。

この情報は、環状線の理解を深めるために、できる限り詳細かつ正確に記述しました。

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