台湾鉄路管理局DR2510型気動車

DR2510型気動車は、台湾鉄路管理局（台鉄）が支線用に導入した気動車です。1990年代初頭、老朽化が進んでいたDR2100型からDR2400型までの車両を置き換える目的で開発されました。これらの既存車両は、台湾総督府鉄道時代に製造され、幾度もの更新工事を経て運用されてきましたが、老朽化が深刻化していました。

そこで、台鉄は1991年に唐栄鉄工所（現在の台湾車両）に試作車2両を発注しました。これがDR2510型（45DR2511と45DR2512）です。しかし、試運転の結果、性能が台鉄の要求水準に達しなかったため、量産は見送られました。結果として、DR2510型は試作された2両のみで製造が打ち切られました。

製造された2両は、まず海線で普通列車として使用されました。その後、内湾線にも投入されました。1998年には、より新しいDR1000型が導入されたため、DR2510型の2両は南廻線に転属し、快速列車として使用されるようになりました。しかし、2004年に液体変速機が故障したため、2両とも運用を停止し、休車となりました。

2005年、桃園県政府が林口線での旅客営業開始に伴い、台鉄に車両の貸し出しを要請しました。これを受けて、台鉄は休車状態だったDR2510型を貸し出すこととし、故障箇所を修理した上で、2両編成で林口線で運用を開始しました。しかし、故障が頻発したため、翌2006年にはDR1000型に置き換えられ、再び休車となりました。

その後、DR2510型は長らく休車状態のまま留置されていましたが、2014年になって「2014仲夏寶島號花東首航」というイベントで使用されることになり、修理が行われました。同年8月には、台東線で試運転も行われました。現在は、主に臨時列車用として使用されています。このように、DR2510型は、その短い製造期間と度重なる故障に見舞われながらも、台湾の鉄道史の中で重要な役割を果たしてきた車両と言えるでしょう。

その変遷をまとめると以下の通りです。

1991年：唐栄鉄工所（現・台湾車両）で2両試作。
試運転の結果、性能が要求水準に達せず、量産は中止。
海線、内湾線で運用。
1998年：DR1000型導入に伴い、南廻線に転属。
2004年：液体変速機故障により2両とも運用停止。
2005年：林口線で運用されるも、故障が頻発。
2006年：DR1000型に置き換えられ、再び休車。
2014年：「2014仲夏寶島號花東首航」で使用のため修理。
* 現在：臨時列車用として運用。

DR2510型は、その短い活躍期間の中で、様々な路線で運用されただけでなく、台湾の鉄道事情の変化を反映する車両でもありました。その存在は、台湾の鉄道史において、特筆すべき一例と言えるでしょう。

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