台湾鉄路管理局DR3000型気動車

DR3000型気動車：台湾鉄路管理局の自強号

DR3000型気動車は、かつて台湾鉄路管理局（台鉄）で運行されていた特急「自強号」用の気動車です。東部幹線と南廻線の輸送力増強に大きく貢献しました。

導入の背景

1990年代初頭、台鉄では東部幹線の混雑が深刻化していました。また、1991年の南廻線全線開通を控え、輸送力の大幅な増強が急務となっていました。そこで、1986年に製造されたDR2900型の増備が計画されました。しかし、DR2900型の続番として増備すると、形式番号の重複が発生してしまうため、新たにDR3000型として製造されることになりました。

DR3000型は、基本的な設計や性能はDR2900型と同一であり、製造も引き続き日立製作所が担当しました。動力車はDR3000型、中間に入る付随車はDR3070型で、3両編成を1ユニットとして組成されました。最大15両編成での運行が可能で、DR2900型と同様の運用がされました。

運用開始と変遷

最初に製造された9編成27両は、1990年5月から東部幹線で運用を開始しました。続く18編成54両は、同年12月までに製造され、南廻線でも運用を開始しました。

2010年からは、乗降扉の自動化改造が行われ、さらに2011年からは、動力エンジンがDR3100型と同じNTA855-R1に交換され、出力が350馬力に増強されました。これにより、DR3000型は性能が向上し、輸送力増強に貢献しました。

長年にわたり活躍したDR3000型ですが、後述する事故によって6両が廃車されました。しかし、残りの85両は自強号の主力車両として、東部幹線や南廻線を中心に運用されました。

2023年4月25日、DR3000型は定期運行から引退しました。最終運行は2023年4月26日に樹林～花蓮間で実施された臨時列車でした。この引退をもって、長年親しまれたDR3000型は、その役目を終えました。

事故による廃車

DR3000型は、過去にいくつかの事故を経験しており、その結果、6両が廃車となっています。

1997年3月27日、外澳駅で発生したコンクリートミキサー車との衝突事故では、DR3045とDR3093の2両が大破し、廃車されました。

2002年8月9日には、台中駅で回送列車の脱線事故が発生し、先頭車のDR3017が事故廃車となりました。

2013年8月31日には、南廻線枋山一号トンネル付近で土砂崩れが発生し、線路に流れ込んだ土砂に乗り上げたため、3両が脱線しました。この事故で脱線した3両は、復旧されることなく廃車となりました。そのうちの1両であるDR3051は、2019年6月に花蓮機廠で客室の修理が実施された後、花蓮県鳳林鎮の台東線旧林栄駅跡に整備された林栄公園に搬入され、オブジェとして静態保存されています。

列車編成

DR3000型気動車の編成は以下の通りです。

制御車(DR3000): DR3000型、54両（現役50両）
付随電源車(DR3070): DR3070型、27両（現役25両）

関連車両

DR3000型に関連する車両としては、以下のものがあげられます。

台湾鉄路管理局DR2800型気動車
台湾鉄路管理局DR2900型気動車
台湾鉄路管理局DR3100型気動車

関連列車

DR3000型が運用されていた列車としては、以下のものがあげられます。

自強号
太魯閣号
普悠瑪号

まとめ

DR3000型は、台湾鉄路管理局の輸送を長年支えてきた重要な車両でした。数々の事故を乗り越え、多くの人々に利用されましたが、老朽化のため引退しました。その活躍は、台湾の鉄道史に深く刻まれています。

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