台湾鉄路管理局DT668号機

DT668は、台湾鉄路管理局によって2011年に動態復元された蒸気機関車です。この機関車は、かつて日本国有鉄道（国鉄）の前身である鉄道省が製造したD51形蒸気機関車の同型機、DT650型蒸気機関車の一両にあたります。

現役時代から保存まで

1941年（昭和16年）に川崎車輌で製造されたDT668は、D51形における標準的な形態を持つグループに属していました。台湾総督府鉄道での車番はD5118、川崎車輌での製造番号は2593でした。第二次世界大戦中という時代背景から、同形機とともに戦時下の貨物輸送に重要な役割を担ったと考えられますが、戦時下であったため、詳細な記録は残されていません。

終戦後、1949年に一斉改番が行われ、DT668という新たな番号が与えられました。同時に、カウキャッチャーや煙室戸へのクリート取り付けなど、いくつかの改造が施されました。しかし、その運用は変わらず貨物用機関車として続けられました。1979年には西部幹線が電化されるなど、台湾にも無煙化の波が押し寄せ、1984年3月に現役を引退しました。

保存機からの復元以後

1984年3月に共に除籍となったCT273号機（C57形の同形機）とともに、新竹機関区苗栗機関支区（現在の新竹機務段苗栗機務分駐所）に留置されました。その後、1993年8月に屏東県麟洛運動公園へ移設され、一般公開されることになりました。2000年には屏東県政府から台湾鉄路管理局に返還され、彰化扇形庫にて静態保存されていました。そして、2010年12月13日、長年の時を経て動態復元を果たしました。台湾が民国100年を迎えた2011年11月11日には復活運転が実施され、最初の運転は「新竹内湾支線」の六家線接続工事完成による全線運転再開の一番列車という栄誉に輝きました。

DT668の動態復元は、台湾の鉄道史における重要な出来事であり、この機関車が再び活躍する姿は多くの鉄道ファンや歴史愛好家を魅了しています。

脚注

本機は、D51形蒸気機関車と同型のDT650型蒸気機関車の一両である。
1949年に一斉改番が行われ、DT668と改番された。
2011年11月11日に動態復元され、復活運転が行われた。

参考文献

レイル No.23 寺島京一著 『台湾総督府鉄道の蒸気機関車』 エリエイ出版部刊 ISBN 4871121739

関連項目

* 動態保存中の蒸気機関車

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