史元亨

史元亨（し げんきょう）

史元亨（1264年 - 1317年）は、モンゴル帝国に仕えた漢人です。字は太初。モンゴル帝国初期に帰順した漢人世侯、史秉直（し へいちょく）の曾孫である史烜（し けん）の息子にあたります。

生涯

史氏一族は、史秉直が当主の時代にモンゴル帝国に帰順しました。当初、家督は長男の史天倪（し てんげい）が継ぐ予定でしたが、史天倪が武仙（ぶせん）の乱に巻き込まれて早世したため、弟の史天沢（し てんたく）が家督を継承することになりました。

史天沢は、甥にあたる史天倪の遺児である史楫（し しゅう）・史権（し けん）が成長すると、彼らに地位を譲ろうとしましたが、モンゴル朝廷に認められませんでした。最終的に、家長は史天沢のままで、史天沢・史楫・史権の3人ともに高い地位が授けられることとなりました。

時代が下り、史権の長男である史烜が亡くなった際、史烜の息子である史元亨はまだ幼く、弟の史焃（し かく）も官位に就いていませんでした。そこで、史烜の妻である張夫人の計らいにより、史烜の地位は史焃が継承することになりました。この一連の出来事は、史天沢と史楫・史権兄弟の故事と合わせて、「史氏の譲」と称されたと言われています。

至元29年（1292年）、史元亨は隆福殿（りゅうふくでん）で皇太子テムルの宿衛（ケシクテイ）として仕えることになりました。3年後には、チンキム家の投下領である龍興路（りゅうこうろ）の守臣の要請により、龍興路同知（どうち）に抜擢され、その後、黄州（こうしゅう）通守、婺州（ぼしゅう）通守を歴任しました。

地方官としては、豪民が悪質な詐欺で不正な利益を得ていた事件を取り締まったり、銅を産出しない婺州での鋳銭事業を停止させたりといった功績が記録されています。

延祐4年（1317年）、朝散大夫（ちょうさんたいふ）・饒州路同知（じょうしゅうろどうち）に任命されましたが、任地に赴くことなく亡くなりました。享年54歳。同年5月22日に真定県（しんていけん）姜故村（きょうこそん）に葬られました。

真定史氏

史元亨は、真定史氏の一員として、モンゴル帝国に仕え、その一族は代々、モンゴル帝国に貢献しました。

参考文献

* 『新元史』巻138列伝35史元亨伝

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