史朝義

史朝義（し ちょうぎ）

史朝義は、唐代に活躍した軍人であり、安史の乱において反乱勢力である燕の第4代皇帝として知られています。彼の出自は突厥とソグド人の混血であり、父は同じく安史の乱で重要な役割を果たした史思明です。

生涯

史朝義は、寧夷州で史思明の長男として生まれました。父が安禄山に従い反乱を起こした際、史朝義は冀州や相州の守備を任され、軍人としてのキャリアをスタートさせます。759年、父である史思明が安慶緒を殺害し、自ら皇帝を称すると、史朝義は懐王に封じられました。

しかし、史朝義は父の決定に不満を抱いていたようです。761年、史思明が末子の史朝清を後継者にしようとしたことに激怒した史朝義は、父を殺害するという暴挙に出ます。さらに、史朝清とその生母である辛氏も殺害し、自ら大燕皇帝に即位しました。そして、元号を顕聖と改めます。これは、父の決定を覆し、自らの権力を確立するための行動でした。

史朝義の治世は長くは続きませんでした。翌年、唐軍が回鶻（ウイグル）の支援を得て反撃を開始すると、史朝義の拠点であった洛陽は陥落します。史朝義は北方の莫県へと逃亡を余儀なくされました。しかし、彼の元を離れる者は後を絶ちませんでした。かつての味方であった田承嗣や李懐仙などの有力者も、史朝義を見限って離反し、彼の勢力は急速に衰退していきました。民心も失った史朝義は、もはやこれまでと悟り、自ら命を絶ちました。この史朝義の死によって、安史の乱は事実上終結を迎えることとなりました。

史朝義は、父を殺して皇帝になったという点において、非常に冷酷で野心的な人物として描かれることが多いです。しかし、彼の短い治世は、安史の乱という大規模な内乱に終止符を打つという重要な役割を果たしたとも言えるでしょう。彼の行動は、結果として唐王朝の再興へとつながりました。彼の生涯は、権力闘争の残酷さ、そして歴史の流れの複雑さを物語っています。

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