史通

『史通』（しつう）は、中国の唐時代に劉知幾によって著された歴史批評の書であり、全20巻から構成されています。本書は、中国における最初の本格的な歴史批判・史料批判の専門書として位置づけられており、歴史家が歴史書を執筆する際の態度や方法論を探求しました。具体的には、「正しい歴史書はどのように書かれるべきか」、そして「歴史家はどのような姿勢で歴史書の執筆に臨むべきなのか」というテーマに焦点を当てています。そのため、『史通』は後の世代に非常に大きな影響を与え、現在も学問上の重要な資料として評価されています。

成立と前史

中国には古代から『史記』を助けに多くの歴史書が書かれてきました。特に後漢から唐代にかけては、多種多様な歴史書が執筆されました。激動の時代を経て、人民が歴史叙述に関与し、数多くの史書が誕生する一方、唐代では既存の史書に対する見直しが求められる風潮が生じました。この結果、文献の分類法が確立され、「史学」という分野が自覚されるようになりました。

劉知幾の登場

劉知幾は、661年に生まれ、若い頃から歴史書に情熱を注いできました。彼は科挙に合格後、多くの歴史書の編纂に携わり、最終的に『史通』を執筆しました。『史通』は、個々の歴史書の問題点を把握し、歴史的事実を正確に伝える方法を探求するための著作でした。彼は数々の挑戦に直面しながらも、その執筆に注力しました。

著述の目的

劉知幾は史官としての経験を基に、歴史書を編纂する際の様々な問題点を指摘しました。彼は、編纂官が多すぎて進捗が鈍化したり、発表権が与えられていなかったりすることに絶望し、『史通』が書かれるに至りました。彼は歴史書の記述方法に関する批判を持ち込み、理想的な歴史書の執筆法を提示しようとしました。これにより、後世の歴史家にとって欠かせない方法論を示したのです。

先行文献の影響

劉知幾は、『史通』の中で古代の書物に多くの影響を受けたことを述べています。特に『淮南子』や『法言』など、著名な作品と彼の思想がつながることで、自身の著作に対する自負が表れています。また、彼は他の歴史書と同様に批判的な視点を取り入れ、様々な重要な文献に言及しました。

主要な構成

『史通』は、「内篇」と「外篇」に分かれており、内篇は体系的な構想のもとに記され、外篇は主に歴史書の執筆に関する方法論を述べた内容となっています。劉知幾は、過去の歴史書を分類し、それぞれの特徴とその源流を論じ、歴史叙述の方法を整理していきました。

影響と伝来

『史通』は、唐代以降の史書に多大な影響を及ぼしました。特に宋代においては、その考察が各所で引用され、明代や清代においても注釈書が存在し、広く読まれることとなりました。彼の批判精神と歴史観は、後の歴史学 developments産生においても重要な役割を果たしました。『史通』は、単なる歴史書ではなく、歴史学の方法論確立に貢献した作品として、その重要性を持ち続けています。

もう一度検索