右城暮石

右城 暮石（うしろ ぼせき）

右城暮石は、1899年7月16日に高知県で誕生した俳人で、本名は齊（いつき）です。彼の俳号は自身の故郷である本山町の小字に由来しています。木能津尋常小学校を経て本山高等小学校に進学しましたが、1913年に中退し、土佐電鉄に就職しました。1900年代の18歳の時には、大阪電灯に入社し、以降の人生では俳句との深い関わりを持つようになります。

1920年に大阪朝日新聞社の俳句大会で松瀬青々と出会い、「倦鳥」の主宰誌に入会。その後、古屋秀雄、細見綾子と共に「倦鳥」の若手三羽烏と称されるに至ります。家族と人生の中でさまざまな場所に住むようになり、1938年には大阪から奈良県に移住しました。奈良に住む間に、俳句の道を学び続け、1947年には西東三鬼の紹介で日吉館句会に参加します。1949年には「風」を退会し、「天狼」同人として俳句活動を続けました。

彼の俳句には日常生活の中での観察や、自然との調和が見られ、特に小動物について描いた詩が多く存在します。「いつからの一匹なるや水馬」や「散歩圏伸ばして河鹿鳴くところ」といった句は、彼の穏やかな視点を象徴する作品と言えるでしょう。また、彼の句作は常に自然への親しみと愛情から生まれるものであり、特に晩年に創作した作品はその penchantをさらに強調しています。

1964年には第5回スバル賞を受賞し、その後1971年にも第二句集『上下』等の評価で第5回蛇笏賞を受賞しました。1990年には「運河」の主宰を茨木和生に譲り、1992年には高知県の故郷に帰郷しました。彼の作品は幅広い世代に影響を与え、特に茨木和生や藤本安騎生といった若手の俳人を育てることに尽力しました。

彼に関連する顕彰活動も数多く行われています。出身地の本山町では、町立大原富枝文学館での展示や、俳句の道の整備が進められており、暮石の業績を称えています。1993年から2003年にかけて、彼の句碑が整備された「俳句の道」も散策コースとして親しまれています。また、文学館のリニューアルオープン後には、彼に関する特別展示も行われており、さまざまな企画が開催されています。2021年には右城暮石顕彰吉野川全国俳句大会が28回を迎え、名誉ある賞として「右城暮石賞」が設立されました。

彼の著作には、1959年に発表された『声と声』、1970年の『上下』、1981年の『虻峠』、1985年の『天水』などがあり、2003年には彼の全集が刊行されています。このように、右城暮石は、日本の俳句界において重要な存在であり、彼の作品は今も多くの人々に愛され続けています。俳句の魅力を広げる彼の姿勢と作品は、後世にわたる影響を残すことでしょう。

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