合同フリーハンデ

合同フリーハンデ：日本の競馬を彩るレーティングシステム

合同フリーハンデは、日本の競馬において長年にわたって活用されてきた、競走馬の能力を数値で示すレーティングシステムです。その歴史は古く、1970年代初頭に端を発します。当時、競馬専門誌『競馬研究』（現在の『研究ニュース』）で、SF作家としても知られる山野浩一氏が、イギリスの競馬雑誌『タイムフォーム』を参考に独自にレーティングを作成したのが始まりです。この独自のレーティングが、後に「合同フリーハンデ」として発展していく礎となりました。

当初は中央競馬の競走馬を対象としていましたが、その後『競馬研究』が『週刊競馬ブック関東版』に統合されると、同誌でレーティングの発表が続けられることになります。1973年には地方競馬も対象に含めた「全日本合同フリーハンデ」へと拡大。日本中央競馬会（JRA）が公式なレーティングシステム「JPNクラシフィケーション」を発表する1997年までは、日本の競馬界で唯一の、広く認知された競走馬の能力指数として君臨していました。

1986年には、同じく独自にレーティングを発表していた『ケイバブック』との業務提携が実現。サラブレッド血統センター発行の『競馬四季報』とも協力関係を築き、現在の合同フリーハンデの体系が確立されました。これは、複数の専門家の知見を結集し、より精緻で信頼性の高いレーティングを提供することを目指した結果と言えるでしょう。

合同フリーハンデの算出は、複数のハンデキャッパー（審査委員）によって行われます。彼らは長年の経験と深い競馬知識に基づき、各競走馬の能力を総合的に評価。その評価を数値化することで、競走馬の実力を客観的に比較することが可能となります。歴代のハンデキャッパーには、山野浩一氏、黒田伊助氏、藤井正弘氏（サラブレッド血統センター）、水野隆弘氏（ケイバブック）といった、競馬界に大きな貢献を果たした著名な人物が名を連ねています。彼らの卓越した見識と情熱が、合同フリーハンデの高精度を支えてきました。

合同フリーハンデは、単なる能力指数にとどまらず、日本の競馬文化に深く根付いた存在となっています。多くの競馬ファンにとって、競走馬の能力を理解するための重要な指標であり、血統分析や予想にも役立つ貴重な情報源となっています。また、長年にわたって蓄積されたデータは、競馬史研究においても貴重な資料として活用されています。

JPNクラシフィケーションが登場した現在でも、合同フリーハンデは独自の視点と長年の実績に基づいたレーティングを提供し続けています。その存在は、日本の競馬界における多様な評価軸を示すものとして、今後もその重要性を保ち続けるでしょう。競走馬の能力を多角的に評価する上で、合同フリーハンデは依然として、競馬ファンにとって欠かせない情報源であり続けているのです。

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