吉川団十郎

吉川団十郎：歌手から陶芸家、そしてラジオパーソナリティへ―多彩な人生の軌跡

1948年、宮城県名取市に生まれた吉川団十郎氏は、シンガーソングライター、陶芸家、そしてラジオパーソナリティとして、多方面で活躍してきた稀有な人物です。本名・吉川昇。市川團十郎から取った芸名と、飾らない人柄で多くの人々を魅了してきました。

彼の音楽活動は1974年、「吉川団十郎一座」を結成し、ヤマハポピュラーソングコンテスト（ポプコン）で入賞したことに始まります。続く1975年には世界[[歌謡祭]]へ日本代表として出場。そして1976年、運命の曲が誕生します。東北弁を交えた楽曲『ああ宮城県』が、全国的なヒットを記録。同曲は彼の代名詞となり、フジテレビ『夜のヒットスタジオ』への出演など、一躍人気者となりました。

この時、彼は「東北弁のDJ」「生きた化石」「純田舎っぺ」といったキャッチフレーズで話題を呼びました。テレビ朝日『ドカンと一発60分!』では、番組のドッキリ企画で『ああ宮城県』を歌っている最中に、共演者やスタッフが次々とスタジオからいなくなるというハプニングに見舞われ、最後に一人残された彼は苦笑しながら「バカ野郎！」と叫んだという逸話も残っています。日本テレビ『11PM』、TBSテレビ『クイズダービー』など、数々のバラエティ番組にも出演し、お茶の間を沸かせました。

音楽活動と並行し、1976年には東映映画『トラック野郎・望郷一番星』に運転手役で出演。劇中では、自身の楽曲『ああ宮城県』をアレンジした歌声を披露しています。

しかし、1977年、彼は芸能界を引退し郷里へ戻ります。その後、1978年には再びラジオパーソナリティとして活動を再開。1981年には宮城県柴田郡村田町に移住し、陶芸家としてのキャリアをスタートさせました。1984年には名取市長選へ立候補するも落選。

その後も精力的に活動を続け、2005年には25年ぶりにラジオ番組『葵と団十郎のサンデーAMO』のパーソナリティを担当。2011年には『ああ宮城県』の第2章を発表し、エフエム仙台主催のイベントにも出演するなど、音楽活動も継続しました。さらに、2013年には地元・名取市増田に「スナック団十郎」を開店しましたが、2017年に閉店しています。

現在も、ラジオ番組『団十郎のナマッテござりす』『団十郎の「なじょでがすフライデー」』のパーソナリティを務めるなど、地元宮城県で精力的に活動を続けています。

吉川団十郎氏の音楽活動は、『ああ宮城県』をはじめとする数々のシングルやアルバムに、そして彼が執筆した書籍『田舎者に捧げる本』などにも表れています。彼の音楽と人生は、地元への愛とユーモア、そして飾らない人間性にあふれており、多くの人の心に響き続けています。彼のキャリアは、単なる歌手や陶芸家という枠を超え、地域社会に根ざした活動を続ける、一人の人間としての生き様を示していると言えるでしょう。彼の活動は、今後も宮城の文化、そして人々の心に深く刻まれていくことでしょう。

好きなものとして、俳優の菅原文太氏とプロレスラー、特にジャイアント馬場氏の名前を挙げていることも、彼の飾らない人柄をよく表しています。彼の生き方は、多くの世代に影響を与え続けているのです。

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