吉成曜

吉成曜：アニメ界の多才なクリエイター

吉成曜(よしなり よう)氏は、1971年5月6日生まれの日本のアニメーター、アニメ監督、そしてイラストレーターです。東京都出身で、現在はアニメ制作会社トリガーに所属しています。兄は同じくアニメーターの吉成鋼氏、妻はアニメーションプロデューサーの堤尚子氏です。

アニメ業界への道：ガイナックス時代

吉成氏は、東京デザイナー学院(現：東京ネットウエイブ)在学中に兄の制作を手伝ったことがきっかけでアニメ業界へ進みました。OVA『暴走戦国史 スペクター誕生』(1991年)で動画・原画としてデビューを果たし、その後もフリーランスとして複数の作品に参加します。しかし、兄の下での制作に限界を感じ、より組織的な環境を求めて1992年にマッドハウスに入社。しかし、一年足らずで退社しガイナックスに移籍します。
ガイナックスでは、動画マンとしての経験を経て、『蒼きウル』のイメージボード制作などに携わりました。1995年には、社会現象を巻き起こした『新世紀エヴァンゲリオン』に参加。メカ作画監督や原画を担当し、特に第2話「見知らぬ、天井」での初号機と使徒の戦闘シーン後半の原画は高い評価を得ました。
2000年には、独特の世界観で人気を博した『フリクリ』に参加し、難度の高いアクションシーンを数多く担当。その卓越した技術は、監督の鶴巻和哉氏からも絶賛されました。アニメーターとしての活動と並行して、イラストレーターとしても活動を開始。PlayStation用ソフト『ヴァルキリープロファイル』では、兄と共にキャラクターデザインやイラストを担当しました。2007年には、ガイナックス制作の『天元突破グレンラガン』にメインスタッフとして参加し、メカニックデザインやメインビジュアルなどを手がけました。

トリガーへの移籍と監督デビュー：新たな地平へ

2011年、吉成氏はガイナックスを退社し、設立に携わったトリガーに移籍。2013年、文化庁の若手アニメーター育成プロジェクト『アニメミライ2013』で制作されたオリジナル短編アニメ『リトルウィッチアカデミア』で監督デビューを果たします。同作品では、原作、キャラクターデザイン、作画監督も兼任し、若手育成にも貢献しました。YouTubeでの公開をきっかけに海外でも高い人気を獲得し、クラウドファンディングによる資金調達で制作された劇場版、そしてTVシリーズへと展開していきました。
2016年には、「吉成曜展」を開催。2020年には、自主制作の短編アニメ『手塚キャラ動かしてみました』を公開するなど、精力的に活動を続けています。2022年にはNetflixで配信された『サイバーパンク エッジランナーズ』でキャラクターデザイン・総作画監督を務めました。

吉成曜の作風と影響

吉成氏の作風は、アメリカンコミックスや海外カートゥーンの影響を強く受けています。力強いラインと躍動感あふれる独特の動きが特徴で、爆発エフェクトは「吉成爆発」と呼ばれるほど有名です。アニメーターとしては人物、メカ、エフェクトと高いレベルの作画力で知られています。
監督としては、絵コンテに多くの時間を費やし、原画にはなるべく手を加えず、最終段階で全体を調整するのが自身のスタイルだと語っています。将来的には、今石洋之氏のようにCGIを活用した制作も視野に入れているとのことです。また、監督作品においては自身の個性を前面に出すのではなく、優秀なスタッフを集め、それぞれの才能を活かすことを重視しています。

吉成氏に影響を与えたクリエイターには、漫画家の神江里見氏、画家エゴン・シーレ、アメコミ作家マイク・ミニョーラ、カートゥーン作家ゲンディ・タルタコフスキー、クレイグ・マクラッケン、ローレン・ファウストなどが挙げられます。また、手塚治虫、宮崎駿、富野由悠季といった日本のアニメ界の巨匠からの影響も大きく、特に宮崎駿氏の漫画版『風の谷のナウシカ』は彼の才能に目覚めさせるきっかけとなったようです。アニメーターとしては、山下の将仁氏や金田伊功氏から多大な影響を受けています。

数々の作品への参加

吉成氏は、数多くのアニメ作品に携わってきました。代表的な作品として『新世紀エヴァンゲリオン』『フリクリ』『天元突破グレンラガン』『リトルウィッチアカデミア』『サイバーパンク エッジランナーズ』などがあり、それ以外にもOVA、劇場アニメ、ゲーム、PVなど幅広い分野で活躍しています。

まとめ

吉成曜氏は、アニメーター、監督、イラストレーターとして、その高い技術力と独特のセンスでアニメ業界に大きな貢献をしてきました。彼の今後の活躍からも目が離せません。

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