吉田勝太郎

吉田勝太郎：四日市発展の礎を築いた名市長

吉田勝太郎（1883年4月5日 - 1970年10月22日）は、第8代および第10代の四日市市長を務めました。彼は、内務官僚、岐阜県知事としても活躍し、四日市コンビナートの誘致に尽力するなど、四日市の近代化と発展に大きく貢献した人物です。その功績を讃えられ、四日市市の名誉市民となっています。

生涯と業績

三重県四日市市出身の吉田勝太郎は、静岡県立静岡中学校で学び、その後、第三高等学校 (旧制)を経て東京帝国大学法科大学法律学科を卒業しました。1911年には文官高等試験に合格し、内務官僚としてのキャリアをスタートさせます。明治時代末期から昭和時代初期にかけて、全国各地で文官を歴任し、その手腕を発揮しました。

1931年には岐阜県知事に任命されますが、同年12月18日に休職し、翌1932年1月29日に依願免本官となり退官しました。

その後、1934年に官選市長として四日市市長に就任。第二次世界大戦後の1947年には、GHQによって公職追放される憂き目にあいます。しかし、吉田千九郎に市長の座を譲った後、再び市長に返り咲き、1955年から1959年まで公選市長として四日市市政を担い、通算5期17年もの長きにわたり市長を務めました。

吉田勝太郎の最大の功績は、四日市コンビナートの誘致です。昭和初期、四日市港の第1期改修工事が完了し、新たな埋め立て地が誕生すると、彼は四日市の将来を見据え、近代化と工業化の必要性を痛感しました。そして、埋め立て地への工場誘致に奔走し、東洋紡績塩浜工場や東亜紡織泊工場などの紡績産業、石原産業四日市工場などの石油化学産業を四日市市に集積させることに成功しました。これにより、四日市は大きく発展し、今日の工業都市としての地位を確立しました。

また、吉田勝太郎は、四日市市と周辺町村の合併（昭和の大合併）にも尽力し、市立四日市病院の設立、四日市西部の住宅団地の開発、名四国道や工業用水の建設、四日市市農業センターの創設など、生活基盤や産業基盤の整備にも力を注ぎました。

女子教育の必要性から1946年に平田紡績社長の宗村佐信と相談して学校法人暁学園を富洲原地区に創設しました。

これらの功績が認められ、1955年に四日市市の名誉市民となりました。

市長在任期間

官選市長時代：1934年6月9日～1946年11月13日
再任公選市長時代：1955年5月2日～1959年4月30日

家族

長男の吉田健一郎は外交官として活躍し、在ハンガリー日本公使館公使や在シンガポール特命全権大使などを務めました。健一郎の岳父は遠山元一です。

参考文献

四日市市市政100周年記念『大樹育つ百年』
四日市市制111周年記念出版本「四日市の礎111人のドラマとその横顔」
四日市市史（第18巻・通史編・近代）
全国市長銘鑑 : 自治制実施五十周年記念 (帝国自治協会 著)

関連項目

* 国産振興四日市大博覧会

吉田勝太郎は、四日市の発展に不可欠な役割を果たした、まさに「四日市の礎」と呼ぶべき人物です。彼の先見の明と行動力は、今日の四日市の繁栄を支える基盤となっています。

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