四日市コンビナート

四日市コンビナートの概要

四日市コンビナート（よっかいちコンビナート）は、三重県四日市市に存在する石油コンビナートで、地域の経済発展を支える重要な拠点となっています。このコンビナートは、造成時期ごとに第1コンビナート（塩浜地区）、第2コンビナート（午起地区）、第3コンビナート（霞ヶ浦地区）の3つの地区から構成されています。1960年12月に成立した第2次池田内閣は「国民所得倍増計画」を発表し、重化学工業を通じて経済成長を促す方針を掲げました。四日市コンビナートはこの流れの先駆けとなった重要な工業地帯です。

コンビナートの形成と公害の歴史

四日市市の初代公選市長である吉田勝太郎と、9代市長の吉田千九郎はコンビナート誘致に尽力しました。彼らは旧大日本帝国海軍の第2燃料廠跡地を活用し、さまざまな企業との競争を経てコンビナートの基盤を築きました。特に、平田佐矩11代市長の下でコンビナートの誘致が進められました。

当初、四日市コンビナートは、原油から蒸留されたナフサを各工場間でパイプラインを通じて供給し、石油化学製品を製造する最新鋭の設備を備えていました。当時の都市計画は、工業地帯としての発展を期待し、「太陽と緑の新しい工業空間」として国際的にも評価されていました。しかし、地域開発が進むにつれて、公害対策が不十分だったため、四日市ぜんそくなどの深刻な大気汚染問題を引き起こす結果となりました。

1972年7月、津地方裁判所は四日市ぜんそく公害訴訟で、コンビナートに関与した6社に対して共同不法行為が認定され、賠償命令が下されました。この判決は、公害に対する社会の関心を高める重要な出来事となりました。

現状では、有害物質の排出は厳しく規制され、公害の影響も徐々に収束しつつあります。近年では、コンビナートの企業が三重大学の学生向けに工場見学を行い、社会貢献に努めています。

各コンビナートの詳細

第1コンビナート（塩浜地区）

塩浜地区は、四日市市長である吉田千九郎と吉田勝太郎の尽力により誘致されました。初期の公害は、この地区の企業によるもので、周辺地域に被害を及ぼしました。公害対策としては、煙突の高さを増す努力がなされたものの、効果は限定的でした。最終的には、新たに導入された脱硫装置によって大気汚染は改善される方向へ向かいました。

第2コンビナート（午起地区）

午起地区では、四日市市長平田佐矩に妨げられず、工業の発展が持続しました。しかし、この地区でも公害問題が深刻化し、四日市ぜんそくの被害が拡大しました。このコンビナートの形成は1957年に始まり、産業と住民の生活環境に大きな影響を与えました。

第3コンビナート（霞ヶ浦地区）

霞ヶ浦地区は1972年に発足し、一連の公害裁判の影響を受けました。この地域は埋め立てによって形成され、各種企業が生産を行っています。

現在の活動と観光

現在、四日市コンビナートは様々な企業が集まり、生産活動を行っています。観光面では、旅客船によるクルーズが催されていますが、運営会社の経営難から一時運休となっていました。代わりに、貸し切りクルーズや陸地からの周遊ツアーが行われています。

このように、四日市コンビナートは日本の工業の礎を担う地域であり、産業の発展と同時に公害問題にも取り組む重要な役割を果たしています。

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