第三高等学校 (旧制)

旧制第三高等学校について

旧制第三高等学校（きゅうせいだいさんこうとうがっこう）は、明治時代から戦後にかけて日本の高等教育の発展に寄与した教育機関です。京都市および岡山市に位置し、京都大学総合人間学部と岡山大学医学部の母校でもあります。その省略名は「三高」です。

設立の歴史

三高の起源は1869年に大阪で設立された舎密局（せいみきょく）にありました。舎密局は理科教育に特化した機関であり、のちに「化学所」や「理学所」、「開成所」等と名を変えながら進化していきました。1872年、学制公布に伴い、「第四大学区第一番中学」「開明学校」などと変遷しつつ、1879年には「大阪専門学校」として再編成されました。この頃、折田彦市が校長に就任し、彼の指導の下で専門教育は重要視されました。

1886年、第三高等中学校が設立され、1889年には京都市に移転されます。移転後、これまでの医学校も統合され、医学部が設置されました。このようにして、京都に根付いた新たな教育機関としての体制が整いました。1894年には高等学校令に基づき、第三高等学校として再編成されました。

学風と教育理念

三高は、教育の「自由」を掲げ、その理念のもとで学問と研究が行われました。これは、当時の第一高等学校が「自治」を標榜していたのに対抗するものでした。初代校長折田彦市の辞任後、校内は統制が強化され、生徒たちの間に自由な学問の精神が育まれていきました。

特に1910年代には、学生たちの自由を求める思いが強まり、ストライキのような運動が発生することもありました。しかし、折田がもたらした自由の学風は以後も後継校長によって引き継がれ、学生たちの間で定着していきました。これらの動きは、大正デモクラシーの影響を受け、学生たちが自らの言葉で教育の場をつくることを促進しました。

最終期と廃止

1949年、学制改革に伴い、三高は新制京都大学に組み込まれ、最後の卒業生を輩出した1950年には正式に廃止されました。その後も名門校としての名声は色あせず、関連する学部は発展し続けました。今や、京都大学総合人間学部や岡山大学医学部の基礎を築いた重要な歴史的な存在として、多くの人々に親しまれています。

現存する遺構

京都大学吉田キャンパスには、旧制三高の象徴とも言える吉田寮食堂や物理学実験場などの歴史的建築物が現存しています。これらの施設は、当時の教育環境を感じることができる貴重なものであり、学生たちの文化や活動の場でもありました。今なお多くの卒業生たちが愛着を持ち続けている存在です。

結論

旧制第三高等学校は、日本の高等教育システムにおける重要な役割を果たしました。自由な学風と多くの優れた卒業生を輩出した三高は、今後も教育の理念として語り継がれるでしょう。

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