吉祥寺 (西条市)

吉祥寺について

吉祥寺（きちじょうじ）は、愛媛県西条市に存在する真言宗東寺派の寺院で、密教山（みっきょうざん）や胎蔵院（たいぞういん）とも称されます。ここでは毘沙門天（当寺では「毘沙聞天」と表現）が本尊として祀られています。また、四国八十八ヶ所の第63番札所としても知られ、毘沙門天を本尊とするのはここだけという特徴もあります。

本尊の真言と詠歌

吉祥寺の本尊には真言があり、「おん べいしら まんだや そわか」と唱えられます。また、ご詠歌として「身の中の悪しき悲報を打ちすてて　みな吉祥を 望み祈れよ」という言葉が伝えられています。

寺の歴史

吉祥寺の沿革は非常に興味深く、寺伝によれば弘仁年間（810年 – 823年）に空海（弘法大師）が光を放つ檜から毘沙門天・吉祥天・善賦師童子を刻み、現在の寺院の基盤が築かれたとされています。当初、寺は現在地より南東の坂元川谷間の山中に位置し、21坊もの塔頭を有していました。

しかし、豊臣秀吉の四国征伐の際に、小早川隆景が高尾城を攻撃した天正13年（1585年）に、敵の放火により寺は全焼してしまいました。本尊は救出され、大師堂の老舗であった場所に一時的に移転されました。後に万治2年（1659年）に、札所の一つである檜木寺（かいぼくでら）と合併して現在の場所に再建されました。

昭和51年（1976年）には、当時の住職が主導となり周辺の札所において「四国東予七福神霊場」を設立しました。これは、地域の七福神が江戸時代末期から信仰を集めていたことから実現したもので、専用の納経色紙は寺で授与されています。

境内と特徴

吉祥寺の境内にはいくつかの重要な建物や像があります。特に本堂に祀られている毘沙聞天坐像は60年に一度の秘仏であり、次回の開帳は23038年を予定しています。また、福聚閣では七福神の中で、寺本尊を除く六神を祀っています。

境内には「成就石」と呼ばれる特別な石もあり、目を閉じながら金剛杖をその石の穴に突き刺すことで願いが叶うとの信仰があります。また、くぐり吉祥天女の像を通ることで、貧困を取り除き富貴財宝を得られるとされています。さらに、句碑も存在し、松尾芭蕉や吉田真照の詩が刻まれています。

アクセス情報

吉祥寺へのアクセスは非常に良好で、四国旅客鉄道（JR四国）の予讃線から伊予氷見駅下車後、徒歩約0.2 kmです。また、近くには民営駐車場も用意されており、普通車の駐車代は1時間300円となっています。

このように、吉祥寺は豊かな歴史と伝統的な信仰を背景に、訪れる人々に深い感動を与える寺院と言えるでしょう。

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