吉野橋 (中村川)

吉野橋について

吉野橋は、神奈川県横浜市南区の中村川に架かる橋で、鎌倉街道（神奈川県道21号横浜鎌倉線）が通っています。この橋は、大岡川と中村川の分流点近くに位置し、交通の要所となっています。橋の上を走る鎌倉街道は、片側2車線ずつの計4車線で、地下には横浜市営地下鉄ブルーラインが、直上には首都高速神奈川3号狩場線の高架橋が通るという、重層的な構造を持つ場所でもあります。左岸は南区吉野町五丁目、右岸は同宮元町一丁目となっています。

歴史

吉野橋は、関東大震災からの復興事業の一環として、1926年（大正15年）に建設されました。この橋の特徴は、両岸寄りに設けられたコンクリート製アーチ状の橋台（アバット）と、中央部の鋼製桁橋を組み合わせた、いわゆる「復興式」と呼ばれる構造です。建設当初、橋の名称はまだ定まっておらず、「新葭谷橋」や「元堰橋」などの案が出されましたが、最終的に、橋が架かる場所の新しい町名が「吉野町」に決まったことを受けて、地元住民の要望もあり「吉野橋」と名付けられました。

かつては横浜市電もこの橋を渡っており、弘明寺方面への延伸に伴い、昭和40年代までその役割を担っていました。1991年（平成3年）には、同じ中村川に架かる西之橋、浦舟水道橋とともに、「かながわの橋100選」に選ばれ、その歴史的価値が認められました。さらに、2019年3月26日には、横浜市認定歴史的建造物にも認定され、その文化的価値が改めて評価されています。

周辺の状況

吉野橋は、中村川において、葭谷橋と共進橋の間に位置しています。この地域は、交通の要所であるとともに、歴史的な建造物や風景が残るエリアです。橋の周辺には、様々な施設や住宅地が広がっており、地域住民の生活を支える重要なインフラとなっています。

まとめ

吉野橋は、単なる交通路としての役割だけでなく、関東大震災からの復興の象徴であり、横浜市の歴史と文化を伝える重要な建造物です。その独特な構造や歴史的背景は、今後も地域の人々にとって、大切な財産として受け継がれていくことでしょう。また、この橋は、横浜の都市景観を構成する上で、欠かせない要素の一つとして、その存在感を放っています。

参考文献
池田尚治『かながわの橋100選写真集』神奈川県、1992年、24頁。
関野昌丈『かながわの橋』神奈川合同出版 かもめ文庫、1981年11月30日、44頁。
小寺篤『よこはまの橋・人・風土』秋山書房、1983年10月8日、94-96頁。
“現存する「復興型」震災復興橋梁 『吉野橋』を歴史的建造物として認定しました！” 横浜市記者発表. 横浜市都市整備局都市デザイン室・道路局橋梁課 (2019年3月28日). 2020年5月2日閲覧。

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