吊された男

吊された男（The Hanged Man）

吊された男は、タロットの大アルカナに属し、通常「12番目」に位置づけられています。このカードは、一般に「吊し人」や「死刑囚」とも呼ばれることがあります。このカードは、試練や忍耐、内面的な成長を象徴しており、逆位置では反発や徒労を意味する場合があります。

カードの意味

吊された男のカードが正位置に出た場合、次のような意味があります。修行や忍耐を必要とし、奉仕や努力を通じて成就感を得ることができる時期を示唆しています。また、状況を冷静に観察し、着実かつ抑制的に物事に取り組むことが必要です。このカードは、人生において避けられない試練を受け入れ、そこから得られる智恵や直観を大切にする姿勢を暗示しています。

逆位置に出た場合、このカードは徒労や無駄な努力、また自暴自棄になりがちな状況を反映しています。欲望に負け、衝動的な行動を取ることで、状況が悪化する可能性があるため注意が必要です。この場合、自己反省や修正が求められています。

カバラとの関係

このカードはカバラとも密接に関連しています。ヘブライ文字の「メム（מ）」が象徴として挙げられるも、その解釈には多様性があります。しばしば「黄金の夜明け団」との関連性が指摘され、特にゲブラーとホドのセフィラを結ぶ経路として理解されています。

占星術との対応

占星術においても、吊された男にはいくつかの説があります。星座に関しては、白羊宮や双魚宮の属性が考えられ、惑星との関係では、太陽・月・土星・天王星・海王星など様々な惑星の影響が議論されています。また水の元素として捉えられることもあります。

寓画の解釈

古いイタリアのタロットカードでは、吊された男に金銭を持たせ「反逆者」というタイトルを付けることがあり、これはユダの象徴性をも示唆しています。マルセイユ版と同様の構図が、恋人のカードにも見られます。双方ともが「母性」を象徴する樹木に挟まれた男を描いており、2本の枝の切り口は「12」を形成しています。この象徴は、状況を受け入れた男の表情からも窺え、彼自身がこの状況を望んだことを示唆しています。

逆的位置での解釈として、もし吊された男が微笑んでいる姿に見えれば、そこには彼が試練を超え、新たな高みへと進む姿が暗示されています。このように、通過儀礼の象徴として、彼の行動は避けられないものであると理解されます。

特にウェイト版では、登場人物が北欧神話の最高神オーディンにヒントを得て描かれているとされます。彼は知識を求めるため、世界樹の枝から9日間首を吊るという試練を受けました。この行為は、希望を抱いて精神的な成長を図ることを示唆しています。足の形は「卍」を形成し、物質世界と精神世界の関係を象徴しています。また、頭の後ろに描かれる光輪は、吊るされた人物が持つ特別な知恵や光を示すものと解されています。

このカードは、タロットにおける深遠なメッセージを持っており、試練を経て得られる成長や自己発見を象徴しています。

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