吊り落とし

吊り落とし（つりおとし）

吊り落としとは、相撲の決まり手の一つです。相手の体を正面から抱え込むようにして吊り上げ、そのまま力任せに地面へ落として倒すという豪快な技です。

歴史と使い手

昭和時代には、吊り技の名手として知られた陸奥嵐幸雄（宮城野部屋）が得意技としていました。また、横綱時代の朝青龍も得意としており、よくこの技を使用していました。しかし、朝青龍が多用するまでは、幕内力士の取組でも5年から10年に一度出るか出ないかという珍しい技でした。

2000年12月に決まり手が追加され「送り吊り落とし」が登場するまでは、相手の背後から吊り上げて落とす技も「吊り落とし」に分類されていました。例えば、1989年11月場所5日目に千代の富士が寺尾に決めた「吊り落とし」は、千代の富士が寺尾の背後に回り込んで吊り落としたもので、現在の決まり手で言うところの「送り吊り落とし」に相当します。

近年では、2021年3月場所9日目に、小兵力士である炎鵬晃が、体格差のある天空海翔馬を吊り落としで破った一番が話題となりました。168cm、98kgの炎鵬が、182cm、164kgの天空海を、懐に潜り込んで肩に乗せるような形で吊り落とし、会場を沸かせました。

創作物での登場

岡村賢二の相撲漫画「ごっつぁんです」では、前頭筆頭の力士である後藤丸が、この吊り落としで横綱大龍を破り、優勝するという劇的な展開が描かれています。他にも、横綱東翔山や関脇大門寺が吊り落としを決めるシーンがあります。

古文書における記述

古文書によると、現在の吊り落としに相当する技は「胴突き（どうづき）」と呼ばれていたようです。

脚注

相撲の決まり手の一つ

関連項目

相撲
大相撲の決まり手一覧
吊り出し
* 送り吊り落とし

もう一度検索