同慶帝

同慶帝（どうけいてい、ドンカインてい、Ðồng Khánh、1864年2月19日 - 1889年1月28日）は、ベトナム阮朝の第9代皇帝であり、1885年から1888年まで在位しました。彼の諱は、阮福膺豉（Nguyễn Phúc Ưng Thị）として生まれ、後に阮福膺禟（Nguyễn Phúc Ưng Đường）、そして阮福昪（Nguyễn Phúc Biện）と改められました。

同慶帝は、嗣徳帝の甥にあたり、幼少の頃から伯父である嗣徳帝の養子として育てられました。この背景には、当時の阮朝を取り巻く複雑な政治情勢がありました。19世紀後半、フランスによるベトナムへの植民地支配が強まる中、阮朝内部でも親仏派と反仏派の対立が激化していました。

1885年、咸宜帝がフランスの支配に抵抗し、フエの王宮を脱出してジャングルに潜伏するという事態が発生します。これに対し、フランスは咸宜帝を廃位し、皇族の中で親仏的な立場を取っていた同慶帝を新たな皇帝として擁立することを決定しました。こうして、同慶帝は22歳という若さで皇帝に即位することになりました。

しかし、同慶帝の治世は長くは続きませんでした。彼は1889年、わずか26歳という若さでこの世を去りました。同慶帝の急逝は、阮朝に新たな混乱をもたらしました。同慶帝には後継者となるべき息子がいましたが、その息子はまだ幼かったため、皇位継承は一時的に停滞しました。

最終的に、同慶帝の従兄弟にあたる育徳帝の子、成泰帝が帝位を継承することになりました。成泰帝の即位は、阮朝の歴史における新たな転換点となり、その後の歴史に大きな影響を与えることになります。

同慶帝の短い治世は、ベトナムがフランスの支配下で苦悩していた時代を象徴しています。彼は、激動の時代に翻弄されながらも、自らの役割を果たそうと努めました。同慶帝の生涯は、ベトナムの歴史における重要な一ページとして、後世に語り継がれています。

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