同期の桜とは？意味をやさしく解説 - サードペディア百科事典

同期の桜：軍歌から生まれた「同期生」という言葉

「同期の桜」は、太平洋戦争中に多くの兵士に歌われた有名な軍歌です。桜の花びらが散るように散華していく兵士の姿を歌った、悲壮感漂う旋律と歌詞は、多くの人の心に深く刻まれています。作曲は大村能章、作詞は西條八十とされていますが、その実態は複雑で、興味深い歴史を持っています。

混迷する作詞者

「同期の桜」の歌詞は、元々は「戦友の唄（二輪の桜）」という曲に由来します。1938年、少女倶楽部で発表された西條八十の作詞によるこの歌は、後に回天特攻隊員となる帖佐裕海軍大尉によって替え歌にされました。江田島の金本クラブにあったレコードを基に作り替えられたという説が有力で、1984年に発見されたレコードによって裏付けられました。しかしながら、歌詞はその後も変化を続け、複数のバージョンが存在し、真の作詞者を特定することは困難です。帖佐氏自身も、歌詞の一部は自分が作詞したものではないと証言しています。多くの人の手によって歌詞が付け加えられたり、変更されたりした結果、現在の「同期の桜」が生まれたと言えるでしょう。

「同期の桜事件」

1980年には、「同期の桜」の著作権をめぐる訴訟、「同期の桜事件」が発生しました。元潜水艦乗組員の山下輝義氏が、同曲が自身の作った「神雷部隊の歌」の模倣であるとしてレコード会社を訴えたのです。しかし、流行歌研究家の長田暁二氏によって、元の「戦友の唄」のレコードが発見され、訴えは棄却されました。この事件は、「同期の桜」の歴史と、その歌詞の複雑な経緯を改めて浮き彫りにする出来事でした。

曲の広がりと演出

「同期の桜」は、特攻隊員を中心に、広く歌われました。悲壮な歌詞と旋律は、当時の軍部や兵士の心情を反映しており、多くの戦争映画でも用いられています。しかし、映画で描かれるような、静かに歌うシーンは実際には少なかったという説も存在します。兵学校で教官によって紹介された後、海軍兵学校から海軍潜水学校へと急速に広まったと考えられていますが、戦後までこの歌を知らなかった兵学校卒業生もいることから、その普及の過程は一様ではなかったようです。1945年のラジオ番組での放送記録が、現存する最古の記録とされています。

著作権と様々な歌手による歌唱

作曲者の大村能章は1962年に亡くなっているため、日本の著作権保護期間は2012年に満了しています。一方、西條八十の著作権は2040年に満了します。多くの歌手が「同期の桜」を歌っており、沢本忠雄とフォー・コインズ、松方弘樹、鶴田浩二、伊藤久男、美空ひばり、春日八郎、北島三郎、渥美二郎などが代表的です。中でも鶴田浩二は、レコード会社間の著作権問題から、自ら作詞した朗読をレコードに収録するという独自のバージョンを発表し、大きな成功を収めました。

替え歌とその後

「同期の桜」は、時代を超えて歌い継がれています。1976年には、読売巨人軍がリーグ優勝した際に「巨人の桜」として替え歌が歌われたという逸話も残っています。現在でも、この歌は日本の軍歌を代表する一曲として、多くの人々に知られ、歌い継がれています。その歴史と歌詞の複雑さ、そして多くの歌手による様々な解釈は、「同期の桜」を、単なる軍歌以上の存在にしています。

脚注

(脚注は必要であれば追記してください。例：出典、注釈など)

同期の桜