名もない星

名もない星

『名もない星』（なもないほし）は、日本のシンガーソングライター、村下孝蔵によって1992年にリリースされた、彼のキャリアにおいて通算12作目となるオリジナルアルバムです。村下孝蔵が描く独特の叙情的な世界観が凝縮された作品であり、多くのファンに愛されています。

本作には、アルバムリリースに先駆けて発表されたシングル曲が複数収録されています。軽快な旅情を誘う「ロマンスカー」、心に深く響く「一粒の砂」、そして日本への感謝と愛情を歌い上げた「この国に生まれてよかった」といった楽曲たちが、このアルバムの核を成しています。これらの代表曲に加え、アルバムのために書き下ろされた楽曲を含めた全10曲が収められており、村下孝蔵の幅広い音楽性と表現力を味わうことができます。

収録曲はすべて村下孝蔵自身が作詞・作曲を手がけています。編曲は水谷公生が大部分を担当していますが、「ピンボール」のみ武澤豊が手がけています。また、コーラスアレンジは町支寛二が担当しており、楽曲に彩りを加えています。

収録曲リストは以下の通りです。

1. ロマンスカー
2. いいなずけ
3. ピンボール
シングル「ロマンスカー」のカップリング曲として発表されました。
4. 教訓
5. 一粒の砂
6. この国に生まれてよかった
7. すみれ香水
8. 恋歌
9. ひとりごと
シングル「一粒の砂」のカップリング曲として発表されました。
10. きっといつかは

このアルバムの制作には、多くの著名なミュージシャンが参加しています。ドラムスは高橋伸之、小田原豊、ベースは岡沢茂、美久月千晴、関雅夫が担当し、楽曲に安定したリズムと深みを与えています。キーボード奏者としては福田裕彦、松浦晃久、梁邦彦、中西康晴が参加し、豊かな音色で楽曲の世界観を構築しています。エレキギターは古川望、水谷公生、武澤豊、杉本喜代志、アコースティックギターは笛吹利明が演奏しており、多彩なギターサウンドが楽曲を彩っています。サックスとフルートは古村敏比古、パーカッションは石井宏太郎が担当し、楽曲に厚みと表情を加えています。トランペットは小林正弘、コンピュータープログラミングは福田裕彦と水谷公生が手がけています。コーラスには町支寛二も参加しています。彼らの卓越した演奏技術が、村下孝蔵の創り出すメロディと詞の世界を一層引き立てています。

『名もない星』は発表当時、村下孝蔵の精力的な活動を示す作品として位置づけられ、多くの音楽ファンに受け入れられました。リリースから時を経て、2010年には再発売が行われ、再び多くのリスナーがこの名盤に触れる機会を得ました。村下孝蔵の温かくも切ない歌声と、心に染み入るようなメロディ、そして普遍的なテーマを歌い上げた歌詞が一体となった本作は、彼の音楽を語る上で欠かせない重要なアルバムの一つと言えるでしょう。

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