名古屋市交通局N1000形電車

名古屋市交通局N1000形電車について

名古屋市交通局が導入したN1000形電車は、名古屋市営地下鉄東山線専用の通勤型電車です。5050形以来、15年ぶりの新型車両として登場しました。N1000形は、5000形の代替車両として、6両編成で合計21本、つまり126両が導入されています。その特徴としては、コスト削減だけでなく、バリアフリーに配慮した設計が挙げられます。

車両のデザイン

N1000形の前面は普通鋼製で、新たに直線を多く取り入れたスタイルが特徴です。以前に使われていたビードプレス工法は廃止され、名古屋市営地下鉄では初めての日車式ブロック工法が採用されています。車両のサイズは5050形にほぼ同じですが、床面が60mm低く設定されており、駅のホームとの段差が50mmに設計されています。これにより、乗降しやすさが向上しました。

尾灯の位置は前照灯の上に設置され、非常用の扉は運転台の右側にオフセットされています。また、行先表示器は名古屋市営地下鉄でも初めての単色LED式です。客室の窓ガラスは熱線を吸収する着色ガラスが使用されており、内部には東山線のラインカラーに合わせた黄帯が施されています。これらのデザインは、視認性と安全性に配慮した優れた工夫がなされています。

車内の設備

車内は全席ロングシートで構成され、上飯田線7000形からの片持式の構造が採用されています。また、冷房装置は薄型の集約分散式で存在感が薄く、車端部には2基が搭載されています。各車両には車内案内表示器が設置されており、N1105編成以降では与えられた情報を17インチのワイドLCDで表示することが可能になりました。これにより、外国語の表示の対応も進んでします。

客用ドアの上部にはドアの開閉方向を示す表示器が設置されており、N1105編成からはスタンションポールが増加し、移動の際のサポートも強化されました。車椅子を利用できるスペースも1両に1か所にはっきりと設けられ、手すりも2本と増設されています。

運転台の設計には、操作をしやすくするためのワンハンドル式の主幹制御器が引き続き採用されています。また、LCDディスプレイを使った駅名表示には多言語に対応した情報提供が行われており、利用者の利便性の向上が図られています。

技術面

N1000形電車の主回路は三菱電機製のVVVFインバータ制御が導入されており、回生ブレーキ機能も持ち合わせています。センサレスベクトル制御により、トルクと回転数の調整が行われるため、滑らかな走行が可能です。主電動機出力は75 kWで、MT比は4M2Tとなっており、5050形と同じ仕様です。ブレーキはATC連動の電気指令空気式が採用され、さらなる安全性が確保されています。

導入の経緯

この新型電車の最初の編成は2007年に製造され、一般公開を経て2008年から営業運転が開始されました。以降、各編成が順次導入され、さまざまな特別仕様車両やラッピング車両も登場しました。特に、2010年には名古屋開府400周年を記念した特別ラッピングが施されたN1101編成も運行されました。

改修と最新の取り組み

N1000形電車では、2020年より車内案内表示器の多言語対応が進められ、2023年度からはデジタルサイネージ広告への移行も計画されています。これにより、情報提供の質が一段と向上し、乗客の快適な移動を支える役割を果たします。

名古屋の通勤風景を支える重要な存在として、N1000形電車は近代化と利便性を追求した設計が施されています。名古屋市の交通インフラを牽引する次世代の電車として、その役割は今後ますます重要になることでしょう。

もう一度検索