名古屋市営トロリーバス

名古屋市営トロリーバスの概要

名古屋市営トロリーバスは、1943年から1951年まで名古屋市が運営していた無軌条電車線で、日本国内でのトロリーバスの導入は、1935年頃からの構想に始まります。トロリーバスは、当時の交通混雑や資材不足に対処するための新しい交通手段として注目されました。開業に際しては、東大曽根町から桜山町間(6.15km)を結ぶ路線が設けられました。

開業までの経緯

トロリーバスの運行は、1928年に兵庫県で始まり、1932年には京都市でも営業が開始されました。名古屋においては1935年頃から構想が特に進められていましたが、実際の運行開始は太平洋戦争中の1943年でした。この時期、名古屋周辺の軍需工場への通勤需要の高まりと、ガソリン供給の停止および電機品・鉄材の不足が運行の背景にありました。

開業後の運行

1943年5月10日、名古屋市のトロリーバスが正式に運行を開始しました。この際、特に10000形と呼ばれる木南車輌製造の車両が使用されましたが、故障が頻繁に発生し、部品の調達が難しい事態が続きました。そこで、日産自動車のボンネットバスを利用した12000形車両が導入され、特異な点として「鼻ペチャバス」とも呼ばれました。また、停留場の設置位置は、道路の舗装状況から中央に配置されることが多かったため、特異な形態で運行されていました。

1950年には、トレーラーを使った貸し出しトロリーバスの運行が開始されましたが、これも過去の戦災と日常的な運行で多くの車両が故障していたための措置でした。

廃止とその後

最後の国民体育大会の開催に合わせて、1950年にはトロリーバスの廃止が進行しました。その結果、桜山町からの routes が部分廃止され、最終的には1951年に残存した全線がバスに置き換えられました。名古屋市営トロリーバスは、8年の短い歴史の中で終焉を迎えることとなりましたが、その後名古屋市電の一部路線は廃止されるまで運行を続けました。

路線データと現在の位置付け

当時の路線は、東大曽根町から桜山町までを結び、直流600Vで運行されていましたが、停留所は路肩ではなく道路中央に設けられており、その位置決定には独自の苦労がありました。名古屋市営トロリーバスの廃止後、名古屋の交通事情は変化し、主にバスと市電によって支えられることとなりました。名古屋市営トロリーバスの跡地には、今でも当時の交通の遺産が垣間見えるスポットや関連施設が残っており、歴史的な価値を有しています。

参考文献

• - 今尾恵介（監修）『日本鉄道旅行地図帳』 7号（東海）、新潮社、2008年。
• - 徳田耕一『名古屋市電が走った街 今昔』JTB、1999年。
• - 名古屋市交通局 編『市営三十年史』名古屋市交通局、1952年。

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