名古屋鉄道デセホ700形電車

名古屋鉄道デセホ700形電車について

名古屋鉄道デセホ700形電車は、1927年に旧・名古屋鉄道によって導入された電車で、待望の新型車両として登場しました。当時、旧名古屋鉄道は輸送力の増強を目指し、1500形に代わる新型車両を計画していました。その結果、半鋼製車体を持つデセホ700形が誕生し、これが同社の保有車両としては初めての半鋼製車両となりました。

導入の背景と目的

1926年度に新製された20両のうち、従来の木造車体を持つデボ650形とは異なり、デセホ700形は普通鋼製の構体を採用した新しいデザインでした。この新型車両は、旧・名古屋鉄道の車両製造を担当していた名古屋電車製作所ではなく、日本車輌製造本店で製造されることが決まっていたため、これ以降は新製される車両すべてが日本車輌製造によって製造されることとなりました。

デセホ700形は1927年4月から運用を開始し、その後も続々と増備が行われました。1928年には改良型のデセホ750形が導入され、こちらも合わせて運用されることになりました。1998年まで運用されたモ700形は、70年以上にわたって利用されており、名古屋鉄道の歴史において重要な役割を果たしました。

デザインと仕様

デセホ700形および750形の外観は、堅牢さを重視した設計がなされ、特に深い丸屋根や腰高な窓位置に特徴があります。車体長は14,262mm、車体幅は2,400mm、そして前後妻面にはそれぞれ運転台が設けられた両運転台仕様となっています。内側はロングシートスタイルで、客用扉は片開き式の引扉が各側に3箇所配置されていました。

主な機器と技術

デセホ700形とデセホ750形は、主要機器についてはデボ650形とほぼ同様の設計が採用されています。具体的には、イングリッシュ・エレクトリック社の技術を基にした電動カム軸式の間接自動加速制御器を使用し、走行性能を高めていました。主電動機は直流直巻電動機が採用されており、吊り掛け式の駆動方式により、高速走行が可能でした。加えて、集電装置にはトロリーポールと菱形パンタグラフが搭載されており、走行区間によって使い分けられました。これにより、名古屋市電との併用区間においてもスムーズな運行が実現できました。

運用といくつかの特別な出来事

デセホ700形及び750形は、一般の普通列車や急行列車運行に充当され、多くの乗客に利用されました。その中でも特筆すべき出来事として、1927年11月に昭和天皇が名古屋地方を訪れた際に、お召し列車として使用されたことがあります。この行幸を受けて、二両編成で運行され、名古屋鉄道は大きな栄光を浴びました。

現在の状況

デセホ700形と750形は、1998年に新型車両に代替されるという形で運用を終了しましたが、その間の70年以上に渡って、多くの人々に親しまれてきました。現在、いくつかの車両は保存されており、過去の歴史を物語り続けています。特に、モ751、モ754、モ755の3両は、様々な形で再利用されています。

デセホ700形電車は、名古屋鉄道の歴史とともにあり、その存在は地域のシンボルとして今も語り継がれています。

もう一度検索