名探偵コナン 世紀末の魔術師

名[[探偵コナン]] 世紀末の魔術師

劇場版『名[[探偵コナン]]』シリーズの第3作として1999年に公開された本作は、興行収入26億円を記録した人気作品です。監督はこだま兼嗣、脚本は古内一成が担当しました。この作品では、大阪、豪華客船、そして古城という3つの異なる舞台で物語が展開し、観客を魅了しました。

あらすじ

物語は、鈴木財閥の蔵から発見されたロマノフ王朝の遺産「メモリーズ・エッグ」を中心に展開します。怪盗キッドからの予告状を皮切りに、コナンたちはエッグを狙う様々な人物と出会います。ロシア大使館のセルゲイ、美術商の乾、ロマノフ王朝研究家の浦思青蘭、映像作家の寒川など、それぞれがエッグに隠された秘密を追い求めます。

キッドの予告時間と場所を推理したコナンと平次は、通天閣でキッドと対峙します。しかし、キッドは謎の人物スコーピオンに狙撃され、エッグと共に消息を絶ってしまいます。エッグは無事でしたが、傷がないかを確認するため、鈴木財閥の船で東京へ運ばれることになります。船内では、パティシエの香坂夏美という女性が、エッグの製作者である香坂喜市の曾孫であることが判明し、物語は新たな展開を見せます。

物語は、喜市が建てた横須賀の城へと舞台を移します。そこで、コナンたちは、エッグの真実、そしてスコーピオンの正体に迫ることになります。城の地下には、隠されたもう一つのエッグと、香坂喜市の妻の遺骨がありました。また、スコーピオンの正体は、ロマノフ王朝の血を引く浦思青蘭であり、彼女はラスプーチンの末裔であることが明らかになります。

作品の特徴

本作は、劇場版初登場のキャラクターが多く、灰原哀、服部平次、怪盗キッドなどが登場しました。特に、灰原哀は、本作以降、劇場版の常連メンバーとして活躍します。また、怪盗キッドがコナンの正体を工藤新一と認識した最初の作品でもあります。この認識は、後の原作やテレビアニメにも影響を与えました。

さらに、本作では、公開当時は未解明だった歴史上の出来事、特にロマノフ王朝の悲劇に独自の解釈を加え、ストーリーに深みを持たせています。ニコライ二世やラスプーチンといった実在の人物が登場し、物語にリアリティを与えています。

大阪を舞台とした前半では、新大阪駅、大阪城、通天閣など、実在の場所が描かれ、作品の雰囲気を盛り上げています。また、本作からキャラクターデザインが原作に近づき、グッズやプログラムに作品の英語表記が追加されるなど、シリーズの転換期となる作品でもあります。

登場人物

レギュラーキャラクター

江戸川コナン: 本作の主人公。怪盗キッドの予告を推理し、事件の真相を解明しようとします。
毛利蘭: コナンの正体に疑念を抱き始めます。
毛利小五郎: 今回は、キッドの予告時間を午前3時と推理し、コナンと対立します。
工藤新一: 終盤に登場しますが、それはキッドの変装です。
怪盗キッド: 今回のキーパーソンで、コナンを助ける場面もあります。
目暮警部: 寒川竜殺人事件を担当します。
阿笠博士: コナンに協力し、事件解決に貢献します。
吉田歩美、小嶋元太、円谷光彦: 少年探偵団の3人。今回は、地下の仕掛けを発見するなど、活躍を見せます。
灰原哀: 劇場版初登場。物語の重要な部分に関わります。
服部平次: 劇場版初登場。コナンと共にキッドを追います。
遠山和葉: 劇場版初登場。平次と共に登場します。
鈴木園子: 今回は、事件に深く関わります。
鈴木史郎: 鈴木財閥会長。事件の舞台となるエッグの所有者です。
白鳥任三郎: 休暇中ですが、事件に遭遇します。実はキッドの変装です。
高木渉: 劇場版初登場。捜査に参加します。
中森銀三: 劇場版初登場。キッド対策に奔走します。
茶木神太郎: 劇場版初登場。捜査会議に参加します。

オリジナルキャラクター

スコーピオン: 今回の犯人。ロマノフ王朝の財宝を狙う強盗殺人犯です。
香坂夏美: エッグの所有者香坂家の相続人です。
乾将一: 美術ブローカー。エッグを狙う人物の一人です。
沢部蔵之助: 香坂家の執事。夏美をサポートします。
寒川竜: 映像作家。エッグの取材を申し込んだ人物です。
西野真人: 鈴木財閥会長秘書。事件に巻き込まれます。
セルゲイ・オフチンニコフ: ロシア大使館一等書記官。エッグのロシア返還を求めます。
浦思青蘭: ロマノフ王朝研究家。実はスコーピオンの正体です。

音楽

主題歌はB'zの「ONE」です。シリーズ初の男性ボーカルによる主題歌となりました。挿入歌には、「I'll be there」、「キミがいれば（世紀末バージョン）」、「愛はいつも」が使用されています。音楽は大野克夫が担当し、ロマノフ王朝をテーマにした壮大な楽曲が物語を彩ります。

メモリーズ・エッグの秘密

本作では、「メモリーズ・エッグ」と呼ばれるインペリアル・イースター・エッグが重要な鍵となります。このエッグは、ロマノフ王朝の細工師、香坂喜市によって作られました。喜市はロシア人女性と結婚し、娘をもうけましたが、革命後に日本へ渡り、横須賀に城を建てました。城には、二つ目のエッグと、妻の遺骨が隠されていました。二つのエッグを組み合わせることで、ニコライ皇帝一家の写真が浮かび上がるという仕掛けが施されています。

制作状況

今作ではコンピュータ作業が導入され、新大阪駅や鈴木家の船など、映像表現の幅が広がりました。特に、ビルや海の描写は、これまでの作品にはない、新しい試みとなっています。

その他

本作では、阿笠博士が出題するダジャレクイズが初めて登場しました。
劇中に登場するセリフ「バルシェ・ニクカッタベカ」は、後のアーティストVALSHEの芸名の由来となりました。
英語吹き替え版のタイトルは「Case Closed: The Last Wizard of the Century」です。
* 2016年に開催された人気投票では、7位を獲得しました。

『名[[探偵コナン]] 世紀末の魔術師』は、歴史とミステリーが融合した、見応えのある作品です。劇場版シリーズの中でも、特に人気の高い作品の一つとして、今もなお多くのファンに愛されています。

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