名瀬港

名瀬港：奄美大島の要衝

名瀬港は、鹿児島県奄美市に位置する、奄美大島北西部に開けた天然の良港です。東シナ海に面した港口は北側に開き、三方を陸地に囲まれた地形は、大型船舶の安全な停泊を可能にしています。地理的にも、鹿児島港と那覇港のほぼ中間に位置することから、九州と沖縄を結ぶ航路における重要な避難港としての役割を担っており、港湾法上の重要港湾、港則法上の特定港にも指定されています。物流拠点としての機能に加え、観光客の玄関口としても重要な役割を果たし、奄美大島の経済活動を支える中心的存在となっています。

港湾地区の概要

名瀬港は、大きく分けて長浜地区、新港地区、本港地区、佐大熊地区の4つの地区から構成されています。それぞれの地区には、固有の機能と役割があります。

長浜地区

長浜地区には、長さ280m、水深10mの観光船岸壁があります。奄美海上保安部の巡視船が常駐するほか、大型クルーズ船の寄港にも対応しています。過去には「飛鳥II」や「ぱしふぃっくびいなす」などの豪華客船が寄港した実績があり、近年では自衛隊の艦船やチャーター船の寄港にも利用されています。また、漁船用の船溜まりも整備されており、多様な船舶が行き交う活気ある地区です。大型船舶の接岸には、タグボートなどの支援が必要となる場合もあります。

新港地区

新港地区には、長さ370m、水深9mの定期フェリー専用の岸壁があります。「くの字」型の岸壁は2隻の同時接岸を可能にしていますが、貨物量の増加に伴い、将来的には3隻同時接岸可能な直線状の岸壁への拡張が計画されています。旅客用フェリーターミナルにはボーディング・ブリッジが整備され、快適な乗船体験を提供しています。マリックスライン、マルエーフェリー、奄美海運、十島村のフェリー航路が発着し、奄美大島と鹿児島、沖縄、周辺離島を結ぶ重要な交通拠点となっています。

本港地区

本港地区は旧港と呼ばれ、かつては定期船や貨物船の中心地でしたが、現在は埋め立てが進み、奥まった場所に漁船の船溜まりが残っています。

佐大熊地区

佐大熊地区は貨物地区として整備されており、鹿児島と離島を結ぶRO-RO船などが利用しています。近年、ヤマト運輸の新事務所が移転し、新たな上屋も設置されました。また、災害時や緊急医療搬送のためのヘリポートも整備されており、地域住民の安全確保にも貢献しています。

港湾整備と将来展望

現在、国と県による港湾整備計画に基づき、沖防波堤の工事や本港地区の埋め立て工事が進行中です。これに伴い、特殊な工事船舶の寄港も増加しています。これらの整備により、名瀬港はさらなる機能強化と安全性の向上を目指し、奄美大島の発展に貢献していくことでしょう。

主要航路

名瀬港からは、鹿児島、沖縄、周辺離島への複数のフェリー航路が運航しています。各航路では、大型フェリーから小型の貨物船まで様々な船舶が利用され、人や物資の輸送を支えています。また、観光客向けクルーズ船の寄港も増加しており、名瀬港は奄美大島観光の玄関口としての役割も担っています。

脚注

本記事の情報は、公開情報に基づいて作成されています。具体的な船舶名、航路、岸壁の寸法などは、変更される可能性があるため、最新情報は関係機関のウェブサイトをご確認ください。

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