名蔵アンパル

名蔵アンパル（なぐらアンパル）

名蔵アンパルは沖縄県石垣市の西部、名蔵湾奥の名蔵川河口に位置する干潟とマングローブ林から成る自然保護区です。地元では「アンパル」と親しまれ、地域の特色を誇っています。名前の由来には、真栄里を拠点に活動していた海賊を村民が網を張って捕らえたという伝説や、漁業に由来する説も存在します。

概要

名蔵アンパルは八重山列島の石垣島に位置し、環境省に指定された「名蔵川河口域のマングローブ林」を含む重要な自然地域です。この地域は亜熱帯の気候に特徴づけられた豊かな動植物が生息し、特に希少な野鳥の生息地として知られています。2003年には国指定の鳥獣保護区に格上げされ、74haが特別保護地区に設定されました。さらに2004年には保護区域が157haに拡張され、国指定鳥獣保護区全体の面積は1,145haに達しています。また、名蔵アンパルは2005年にラムサール条約に登録され、2007年には西表国立公園の特別地域に指定されています。

地形・地質

名蔵アンパルは名蔵川の河口部に位置する入り江です。ここには土砂が堆積し、マングローブ林が広がっています。砂州が南北約2kmにわたり発達しており、潟湖も形成されています。最近では赤土が海岸に流入し、環境に影響を与えています。

植生・植物相

マングローブ林

マングローブ林には、オヒルギやハマザクロを含む6種のマングローブ植物が自生しています。良好な生育環境が整い、特にオヒルギ－ヤエヤマヒルギ群落が広がっています。

モクマオウ林

防風林として多くのモクマオウが植えられており、樹高は15mにも達します。周辺にはクロイワザサやタイワンカモノハシなどの低木類も見られます。

海岸林

マングローブ林の背後に広がる海岸林には、アカテツやオオハマボウなど多様な植物が生育しています。

海浜草本群落

海浜部にはミルスベリヒユやソナレシバなどの草本が帯状に分布し、独自の生態系を形成しています。

環境問題

名蔵アンパルでは、流入する赤土やシルトによる陸化が進行中で、干潟面積が減少するとともにマングローブ林は増加しています。この悪化は周辺地区の開発や工場からの廃水流入にも関連しています。

動物相

この地域は多種多様な底生生物が生息し、それを餌とする野鳥も多数見られます。特に名蔵アンパルは多くの鳥類が飛来する地点として注目されています。2002年の調査では、170種以上の鳥類が確認されており、その中には絶滅危惧種も含まれています。

民謡

地元住民によって歌い継がれる"アンパルヌミダガーマユンタ"という民謡があります。この歌は、目高蟹の習性や生活を描写したもので、地域の伝統と自然のつながりを物語っています。

まとめ

名蔵アンパルは、その豊かな生態系や文化的背景から、沖縄県で重要な存在です。地域の保全活動と共に、訪れる人々にも自然の素晴らしさを伝え続けていく場所であると言えるでしょう。

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