名誉総長

名誉総長（めいよそうちょう、または栄誉総長）とは、主に大学をはじめとする教育機関や、病院などの医療機関において、その組織の発展に特に顕著な功績があったと認められる人物に対し、多くの場合、退任時に授与される栄誉ある職位または称号を指します。

この称号や職位は、国が定める栄誉称号の一つとされる場合もあれば、それぞれの民間機関が独自に定める名誉称号として位置づけられることもあります。名誉総長に類似する職名や称号として、名誉副総長や名誉事務総長なども存在します。

国立医療機関における名誉総長等

国立の医療機関においては、名誉総長の称号授与に関する公的な制度が設けられています。これは、昭和39年（1964年）に厚生省令として制定された「国立高度専門医療センター名誉総長等の称号の授与に関する省令」を根拠とするものです。

この省令に基づき、国立高度専門医療センターや国立ハンセン病療養所などで、総長、病院長、研究所長、あるいは所長として長年にわたり勤務し、その運営に特に功績があったと認められる者に対して、名誉総長、名誉院長、または名誉所長の称号が贈られることが規定されています。

当初は厚生大臣によって授与されていましたが、厚生省が厚生労働省へ移行したことに伴い、省令も随時改正され、今日では平成16年（2004年）3月31日付けの厚生労働省令第77号により、厚生労働大臣から授与されることとなっています。

この制度の下、国立循環器病研究センターなど、多くの国立高度専門医療センターで名誉総長の称号授与が行われています。著名な受称者としては、国立がんセンター（現：国立がん研究センター）の名誉総長を務めた

杉村隆氏（1992年）
垣添忠生氏（2007年）

といった方々が挙げられます。

私立大学における名誉総長

多くの私立大学、特に学長職を「総長」と呼称する機関においては、大学の発展に貢献した元総長に対し、その退任後に名誉総長の栄誉職または称号を贈ることが一般的に行われています。

また、実務を伴わない名誉職として、大学にゆかりの深い、あるいは社会的に顕著な貢献を果たした人物などを名誉総長に推戴する場合も見られます。これは、大学の象徴的な存在として、あるいは外部との関係構築における名誉職として位置づけられます。

名誉総長の制度が見られる主な私立大学としては、

早稲田大学
日本大学
東京都市大学
京都外国語大学
広島工業大学
立命館大学
道都大学
拓殖大学

などが知られています。

類似の称号：名誉副総長・名誉事務総長

名誉総長に類似する職名や称号も存在します。

名誉事務総長

国際的な団体においては、名誉事務総長の職名・称号が定められている例があります。例えば、国際港湾協会では名誉事務総長の称号を設けており、日本の政策研究大学院大学客員教授である井上聰史氏がこの職に任命されています。

名誉副総長

英国の大学などに見られる称号です。かつて英国の銀行家、著述家であり、下院議員も務めた初代エイヴベリー男爵、第4代エイヴベリー準男爵であるジョン・ラボック氏は、ロンドン大学の名誉副総長に就任していました。

これらの称号は、それぞれの組織や機関において、特定の個人が果たした功績や貢献を称え、敬意を表すために設けられています。

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