国立ハンセン病療養所

国立ハンセン病療養所について



国立ハンセン病療養所は、かつてハンセン病患者を隔離していた施設で、現在は入所者のためのコミュニティと医療機関としての役割を担っています。厚生労働省施設等機関として運営されており、職員は国家公務員です。

概要



2000年代に多くの国立病院や療養所が独立行政法人に移行しましたが、国立ハンセン病療養所は対象外となり、現在も厚生労働省の管轄下にあります。入所者数は1950年代の約1万2000人をピークに減少し、2022年5月1日時点では13カ所に927人(平均年齢87.6歳)となっています。

ハンセン病患者の強制隔離を違憲とした判決(2001年)を受け、政府は入所者が希望する療養所で生活できることを保障していますが、療養所の将来構想の策定は難航しています。また、入所者の高齢化に伴い、自治会活動の休止も発生しています。

歴史



1907年: 「癩予防ニ関スル件」が公布され、全国を5つの区に分けてハンセン病患者を収容する施設が設立されました。
1941年: 厚生省の管轄に移管。
1953年: 「癩予防法」が「らい予防法」に改正されました。
1993年: 国立療養所多磨全生園内に高松宮記念ハンセン病資料館(現:国立ハンセン病資料館)が開館しました。
1996年: 「らい予防法」が廃止され、「らい予防法の廃止に関する法律」が制定されました。
2001年: らい予防法違憲国家賠償訴訟で政府が敗訴し、強制隔離政策の違憲性が確定しました。
2012年: 国立療養所菊池恵楓園内に民間保育所「かえでの森こども園」が開所、国立療養所多磨全生園内に認可保育所「花さき保育園」が開所しました。全国入所者数は2,134人、平均年齢は82.1歳でした。
2014年: 全国入所者数は1,840人、平均年齢は83.6歳でした。

施設一覧(2022年5月1日時点の入所者数)



国立療養所松丘保養園(青森県、53人)
国立療養所東北新生園(宮城県、42人)
国立療養所栗生楽泉園(群馬県、48人)
国立療養所多磨全生園(東京都、117人)
国立駿河療養所(静岡県、47人)
国立療養所長島愛生園(岡山県、115人)
国立療養所邑久光明園(岡山県、64人)
国立療養所大島青松園(香川県、40人)
国立療養所菊池恵楓園(熊本県、149人)
国立療養所星塚敬愛園(鹿児島県、82人)
国立療養所奄美和光園(鹿児島県、17人)
国立療養所沖縄愛楽園(沖縄県、108人)
国立療養所宮古南静園(沖縄県、45人)

その他のハンセン病療養所



神山復生病院: 日本最古のハンセン病療養所(静岡県御殿場市
待労院診療所: 2013年に閉鎖されたカトリック教会系の療養所(熊本市

関連事項



ハンセン病
日本のハンセン病問題 - 無癩県運動
国立ハンセン病資料館
菊池医療刑務所
ハンセン病療養所
ハンセン病患者の隔離
ハンセン病療養所の特殊通貨
高松宮宣仁親王
国立病院機構
国立病院・[[国立療養所の一覧]]
グルコスルホンナトリウム(プロミン)
らい予防法

関連法規



らい予防法
らい予防法の廃止に関する法律
ハンセン病問題解決促進法

外部リンク



* 厚生労働省

今後の課題



国立ハンセン病療養所は、入所者の高齢化が進んでおり、療養所の将来構想は重要な課題です。各療養所では、地域社会との連携や福祉施設の併設などが検討されています。また、ハンセン病に対する偏見や差別をなくすための啓発活動も重要です。

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