名鉄ト400形貨車

名鉄ト400形貨車の概要

名鉄ト400形貨車は、かつて名古屋鉄道で使用されていた木造の無蓋貨車です。この貨車は、’’三河鉄道の10トン積木造無蓋車のト90形およびト100形’’を一つの形式として統合したものであり、具体的には元ト90形の6両（ト401 - ト406）と元ト100形の6両（ト407 - ト426）が存在します。それぞれの車両は、異なる詳細仕様を持っています。

製造背景と改造の歴史

この貨車の元となったのは、1914年から1918年にかけて、天野製作所で製造された三河鉄道のト60形（8トン積）とト70形（9トン積）です。ト60形は6両、ト70形は20両が作られ、1927年には両形式ともに10トン積の無蓋車へ改造されました。1931年には、ト60形はト90形（ト91 - ト96）に、ト70形はト100形（ト101 - ト120）に改番されます。

その後1941年、三河鉄道が名古屋鉄道に合併されたことを受け、この貨車は名古屋鉄道へ引き継がれ、さらにト400形（ト401 - ト426）として統合されました。

運用実績

名鉄ト400形貨車は、側板が低いデザインのため、もともと三河鉄道時代から重量物の搬送に使われていました。具体的には、大浜町、新川町、高浜町で生産された瓦（いわゆる‘‘三州瓦’’）や土管、さらにはその原料となる粘土を各地に運ぶために利用されていました。

戦後になると、主に東部線および三河線で運用され、一部の貨車は車両部品の輸送に流用されることもありました。その後、東部線で使用されていた車両の一部は、西部線に転配されることとなります。

消滅の経緯

時間の経過と共に、名鉄ト400形貨車の両数は徐々に減少し、1960年には残存するのが10両にまで減少しました。そして、1963年にはこの形式は公式に消滅することとなりました。このように、名鉄ト400形は、貨物輸送の一時代を支えた重要な車両形式でした。

参考文献

• - 清水武・田中義人・澤内一晃『名古屋鉄道の貨物輸送』フォトパブリッシング、2021年。ISBN 978-4-8021-3270-1。
• - 小寺幹久『名鉄電車ヒストリー』天夢人、2021年。ISBN 978-4-635-82269-5。

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