土管

土管（どかん）

土管とは、焼かれた粘土から作られた円形の管で、排水や導水の用途に利用されています。一般にコンクリート製の円筒が「土管」と呼ばれることがありますが、これらは本来ヒューム管と呼ばれ、性質には明確な違いがあります。多くの工事現場で使用されるのはヒューム管で、土管は主に酸やアルカリを含む液体や廃液の輸送に適しています。近年は、これらの機能を果たす設備も塩化ビニール製に移行しており、粘土製の土管はあまり見かけなくなりました。

概要

土管は、排水路や煙突など、様々な人口物に用いられます。接続部分には、ソケットや継手として機能する特殊な形状が用いられ、片側が膨らんでいます。これにより、異なる管同士を確実につなげることができるのです。また、素焼きだけでなく、釉薬で焼かれたツヤのある土管も存在します。
土管は粘土を成形して乾燥させ、窯で焼成することで作られます。多様な管径があり、一般的には赤茶色から焦げ茶色の範囲でさまざまな色があります。日本においては、明治時代からの長い歴史を有し、主に雑排水の下水管として広く利用されてきました。現在でも、素焼きの土管は特に農地や運動場などでの暗渠排水用の吸水管として使われています。陶器の特性から、強度や耐食性、耐薬品性に優れ、機能寿命も長いことが特長です。

歴史と産地

中国の土管

最古の土管の遺物は、中国・河南省の平糧台古城にあり、紀元前2100年頃にまで遡ります。この時代の土管は、城の排水システムの一部として使われていました。秦の始皇帝の時代には土管と石管が併用され、漢代には塼管が広まります。唐代においても建築物に塼が多用され、土管は一部で重要な役割を果たしていました。

日本の土管

日本における土管の技術は、6世紀に朝鮮半島を経由して伝来しました。初期の土管は、飛鳥時代の飛鳥寺にて発見され、直径20センチメートル程度の瓦製土管が見つかっています。江戸時代末期には、愛知県の常滑で新しい製造法が導入され、明治時代にはさらなる改良が加えられました。この地では土管の生産が盛んな時代が長く続きました。

ヨーロッパの土管

紀元前3000年ごろのクレタ島からは、水道管として使われた陶製土管が発見され、これが世界で最古の例とされています。19世紀にはフランスで機械成形技術が発明され、これがヨーロッパ全体に広がりました。

コンクリート製土管の登場

近年ではコンクリート製の土管が増加しています。これらは、型に流し込む製造方法であり、下水道用として用いられることが一般的です。ただし、酸性の廃液や硫黄の影響により腐食が進行する問題があるため注意が必要です。そのため、最近では小径のものは硬質塩化ビニル管で代用されることも増えています。

文化的影響

日本のマンガやアニメでも、「土管」は象徴的な存在です。例えば、藤子不二雄の『ドラえもん』や赤塚不二夫の『おそ松くん』では、空き地に土管があり子供たちが遊ぶ様子が描かれています。これらのシーンは、昭和中期の平和で牧歌的な日本社会の象徴として採用されています。

土管屋（俗称）

土管屋とは、土管の設置と管理を専門に行っている業者のことです。この用語は、通信事業者と同様の比喩として用いられることがあります。すなわち、基盤の整備はするが、実際に流れる水は他社が扱うという意味です。

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