名鉄モ3750形電車

名鉄モ3750形電車の概要

名鉄モ3750形電車は、1949年に名古屋鉄道（名鉄）によって導入された制御電動車で、主に名鉄の直流1,500 V電化路線で使用されました。この電車は、過去に発生した太田川車庫火災によって焼失した車両の復旧を目指して設計されたもので、主要機器を流用した新しい車両として誕生しました。

車両の背景

1948年の火災では、モ910形914やモ3300形3301、3304といった名鉄の旧型車両が失われました。これを受けて、新たにモ3750形が設計され、運輸省規格形電車の3800系のデザインを踏襲したスタイルで製造されました。1954年には、モ3751とモ3752がカルダン駆動装置の実用試験車に改造されるなど、改良も加えられました。全車両は1969年まで運行されましたが、その後全てが付随車に改造されました。

車体の設計

モ3750形の車体は全長17,830 mm、全幅2,740 mmの半鋼製です。車体は新製されたもので、貫通扉や幌枠、側面窓の配置は3800系と同様です。ただし、ベンチレーターは3800系前期車に似た形状が採用されています。車内はロングシート仕様で、混雑緩和のために座席数が削減されています。

主要機器の特徴

モ3750形の主要機器の多くは、過去の車両からの流用品で構成されていますが、制御装置は新しいHB式に改良されました。主電動機にはウェスティングハウスの直流直巻電動機が搭載されており、駆動方式は吊り掛け式です。台車には日本車輌製造の形鋼組立形釣り合い梁式台車が用いられています。3800系と異なり、モ3750形の重量は34.6 tと軽量です。

運用と改造の歴史

モ3750形は、その特性により3800系との併結運用ができませんでしたが、HL車として他の形式と運用されました。1954年に改造されたモ3751とモ3752は、カルダン駆動装置の試験を通じて新技術のデータを提供しました。最終的にこれらは車両の形式変更を経て、サ2250形に改造され、付随車として運行されることとなります。

退役とその後の活用

1967年に全車が付随車化され、サ2250形に改名されました。改修後も築港線専用車両として運用され、デキ370形の電気機関車と連結して運行されます。1969年には全車が除籍され、その後、サ2251は療護施設に無償贈与されました。

このように名鉄モ3750形電車は、過去の車両の復旧から始まり、次々と新しい技術を実験する場としての役割も果たしました。多様な改造や運用を経た後も、鉄道の進化に貢献した重要な存在だったと言えるでしょう。

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