名鉄モ770形電車 (初代)

名鉄モ770形電車の詳細

名鉄モ770形電車は、名古屋鉄道（名鉄）が1944年に導入した制御電動車で、特に支線区での運用が行われました。この電車は竹鼻鉄道が発注したもので、名鉄の竹鼻線を運営する際に使用されました。本記事では、モ770形の歴史、設計、運用について詳しく解説します。

導入の背景

1942年、竹鼻鉄道は小型車両しか保有しておらず、増加する乗客に対応するために大型のボギー車の導入を計画しました。これがモ770形の誕生のきっかけです。当初はデ1形を改造して新しい車両を作る計画がありましたが、運営中に名鉄に吸収されたため、モ770形として新たに番号が付けられました。1944年7月に2両（モ771・モ772）が落成し、名鉄の一員として活躍を始めました。

車両設計

モ770形の車体は長さ約15メートルの半鋼製で、前後に両運転台を持つ設計となっています。前後妻面には幅710mmの窓が3枚均等に配置されていますが、貫通路は設けられておらず、非貫通構造です。側面には、乗務員用の扉や客用扉が配置されており、乗客の利便性を考慮した設計となっています。

主な機器・性能

この電車にはゼネラル・エレクトリック製の制御装置が採用され、主電動機は東洋電機製造のものを流用しました。駆動方式は吊り掛け式で、台車にはペデスタル式ペンシルバニア形台車が装着されています。また、集電装置としてトロリーポールが用いられ、電力供給には直流600Vが利用されました。

運用の変遷

モ770形は導入後、電気系統の故障が頻発し、一時は運用を休止する事態となりました。しかし、その後は改造が施され、モ771は集電装置をパンタグラフに切り替え、主に一宮線で運用されるようになりました。モ772は電装品を撤去し付随車として運行されました。

1948年には、西部線の架線電圧が昇圧され、モ771・モ772は再び制御電動車として改造され、運用が復活しました。最終的には、1966年に両車が電装解除され、制御車として再利用され、その後廃車となり、モ770形はその歴史に幕を閉じました。

モ773の未成

モ770形の設計に基づくモ773は、東美鉄道による発注でしたが、最終的には竣功することがなく、他社への譲渡という形で終わりました。この未成車両の経緯も、モ770形の歴史の一部として重要です。

結論

名鉄モ770形電車は、名古屋鉄道の戦時中における輸送力向上を目指す努力の結果、数々の改造や運用の変遷を経ながらも長い歴史を有しました。この電車の設計や運用は、名鉄の鉄道史において重要な位置を占めています。

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