名鉄3300系電車 (3代)

名鉄3300系・3150系電車

概要

名鉄3300系電車と3150系電車は、2004年に登場した名古屋鉄道の通勤形電車です。3300系は4両編成、3150系は2両編成で、両形式は基本設計を共通としています。3500系・3700系・3100系の後継として、名鉄の標準型通勤電車を目指し、先に導入されていた300系をベースに開発されました。製造期間は長期にわたり、3300系は2005年から2014年まで、3150系は2008年から2014年まで増備が中断された時期もありました。本形式の導入により、5500系などの旧型車両が淘汰されました。

車両概説

車体

車体は、日本車輌製造のブロック工法によるステンレス製です。300系が20m級4ドアであったのに対し、本系列は19m級3ドアに変更されています。車体断面は、300系ではストレートでしたが、本系列では3700系・3100系と同様に、台枠部で裾を絞った形状となっています。車外スピーカーは、300系では屋根上に設置されていましたが、本系列では車体側面に変更され、先頭車に5個、中間車に6個設置されています。

前頭部は、事故時の修理を考慮して普通鋼製で、ステンレス車体との一体感を出すためシルバーメタリック塗装が施されています。前面と側面の窓下には、名鉄カラーのスカーレットの帯が配されています。前面のデザインは300系をベースとした丸みを帯びた貫通型で、非常時の乗務員移動を考慮し、貫通扉の位置が中央寄りに変更されています。灯具類は腰部に横並びで配置され、一体感を出すためにダークグレーの帯パーツが設けられています。前照灯はHIDランプ、標識灯はLED式です。

電気連結器を装備するため、前面のスカートは左右分割タイプで、グレーに塗装されています。客室側窓は、扉間が大型2連固定窓、車端部は小窓とされています。すべての窓にUVカットガラスが使用され、カーテンは省略されています。種別・行先表示器は、三菱電機製オーロラビジョンが採用されています。床面高さは1,100mmです。

内装

名鉄名古屋駅の混雑緩和と利用客の要望に応えるため、転換クロスシートとロングシートを交互に配置しています。クロスシートの前後間隔は900mm、通路幅は640mmです。地上用の3扉通勤形車両としては、1990年の6500系以来となるクロスシート装備車です。

つり革は三角形で、すべてパイプを通して吊られています。クロスシート部分にはつり革がありません。客室天井高さは2,270mmです。扉上部にはLED案内表示装置が設置され、幕板部が内傾しています。連結面の貫通扉の窓は縦長で大型です。

バリアフリー対応としてドアチャイムを装備し、客用扉部分の床は黄色のカラーステップとされています。両先頭車には車椅子スペースが設けられ、跳ね上げ式の補助椅子が設置されています。各車両に優先席が設けられ、床敷物はノンスリップタイプです。客室内のカラーリングはライトグレー系で、座席モケットは柄入りで、一般席が青系、優先席が赤系です。側扉、妻面貫通扉、座席部分のポールはローズピンクです。

各車両に3色LED式の車内案内表示装置が設置され、種別・行き先や停車駅などが表示されます。妻面にはLED式の号車表示器が設置されています。

運転室は、2000系をベースとしたワンハンドル式主幹制御器と液晶モニタ装置付きの仕様です。将来のワンマン運転に対応できるよう機器配置が変更されています。運転室と客室の仕切りは、乗務員扉が中央に設けられ、扉窓と運転席背面の窓が着色ガラスとなっています。

機器類

各電動車に1C4M2群分割方式のVVVFインバータ制御装置が搭載されています。補助電源（CVCFインバータ）と一体化され、故障時にはVVVFを切り替えるデュアルモード方式が採用されています。主電動機は出力170kWのものを各電動車に4個装備します。ブレーキシステムには純電気ブレーキを採用し、回生率を向上させています。3500系などの電気指令式ブレーキ車両との併結に対応するための読替装置が搭載されています。空調装置は集中式で、各車両に1基設置されています。

系列別概要

3300系

4両編成で、ク3300形(Tc) - モ3350形(M) - サ3450形(T) - モ3400形(Mc) の順に組成されます。1次車から7次車まで製造され、一部編成では仕様変更が行われています。

3150系

2両編成で、ク3150形(Tc) - モ3250形(Mc) の順に組成されます。3300系の両先頭車と同一設計とされており、仕様は3300系と共通です。1次車から7次車まで製造され、一部編成では仕様変更が行われています。

運用

3300系・3150系は、他の系列との併結運転が可能であり、様々な種別で運用されています。3300系は4両固定編成を組む3500系・3700系・9500系と共通運用され、快速急行から普通まで広範囲に運用されています。3150系は2両編成の3100系・9100系と共通運用され、快速特急以下の種別で運用されています。2200系の増結用としても使用されます。

豊田線、蒲郡線、三河線、各務原線、広見線、小牧線、築港線での定期運用はありません。瀬戸線には3150系は配置されていません。

ラッピング車両

過去には、花フェスタ記念公園、中京競馬場、子育て応援の日、ぎふ清流国体、徳川家康公顕彰四百年記念事業、岐阜市信長公450周年プロジェクト、ミスタードーナツなどのラッピングが施された編成がありました。

エコムーブトレイン

2008年から2015年まで、毎年「エコムーブトレイン」のラッピングが施され、環境に関するポスターが掲出されていました。

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