向道ダム

向道ダム：日本初の多目的ダム

向道ダムは、山口県周南市大道理、二級水系・錦川本川の上流部に建設されたダムです。山口県が管理する県営ダムであり、日本で最初に運用が開始された多目的ダムとして知られています。当初は青森県の沖浦ダムが日本初の多目的ダムとして計画されましたが、沖浦ダムが水没したため、名実ともに向道ダムが日本初の多目的ダムとなりました。

沿革

1935年（昭和10年）、内務省が全国7河川1湖沼で「河水統制事業」を開始。錦川では洪水調節、周南地域への工業用水道、電力供給を目的に、1938年（昭和13年）3月に都濃郡向道村でダム建設が始まり、1940年（昭和15年）10月に完成しました。これが向道ダム、日本初の多目的ダムです。

ちなみに、多目的ダムとして最初に建設が開始されたのは沖浦ダム（青森県／浅瀬石川）でしたが、1988年（昭和63年）に完成した浅瀬石川ダムによって水没。そのため、ダムの姿を見ることは困難です。

完成当初、工業用水道事業と発電事業は山口県の直営でしたが、戦時体制下で政府が電力事業を国の管理下に置くため、1942年（昭和17年）に山口県は電気局を解散。発電施設と電力事業は中国配電株式会社（現・中国電力）に譲渡され、向道ダムは山口県と中国配電の共同管理となりました。

戦後、周南地域で工業用水道の需要が高まり、1965年（昭和40年）には下流に菅野ダムが建設。ダム機能の主力は菅野ダムに移りましたが、向道ダムは存置され、現在は二つのダムが連携して錦川上流部の治水・利水機能を果たしています。中国電力による電力事業も継続され、間上発電所（ダム水路式）に加え、ダム式の向道発電所が増設されました。

ダム周辺

向道ダム周辺には、以下の施設や道路があります。

国道315号
国道376号
山口県道・島根県道3号新南陽津和野線
徳山カントリークラブ

関連情報

向道ダムについてさらに詳しく知りたい方は、以下の情報源をご参照ください。

山口県河川課 向道ダムの紹介
ダム便覧（財団法人日本ダム協会） 向道ダム

向道ダムは、日本のダムの歴史において重要な役割を果たした施設であり、現在も地域の治水と利水に貢献しています。

もう一度検索