君島久子

君島久子：中国文化を繋ぐ架け橋

君島久子氏（1925年2月15日-2023年6月8日）は、日本の中国文学と民族学の世界に多大なる貢献を果たした研究者でした。慶應義塾大学文学部卒業後、旧東京都立大学大学院修士課程を修了。国立民族学博物館教授として長年研究に携わり、1990年の退官後も聖徳学園岐阜教育大学・岐阜聖徳学園大学教授、中国中央民族大学および雲南大学名誉[[教授]]として、その活動を続けました。

君島氏の研究は、中国の児童文学に深く根ざしています。中国児童文学研究会の代表として、数多くの中国の昔話や民話を翻訳、研究し、日本の読者に紹介する役割を担いました。その活動は、単なる翻訳にとどまらず、中国文化の理解促進に大きく貢献しました。

彼女の翻訳作品は、日本の児童文学界に大きな影響を与えました。代表的な作品として、『西遊記』、『王さまと九人のきょうだい』などがあります。これらの作品は、子供たちに中国文化の豊かさと奥深さを伝えるとともに、世代を超えて愛され続けています。

その功績は、数々の受賞に裏付けられています。サンケイ児童出版文化賞は、『白いりゅう黒いりゅう』（岩波書店）と『中国の神話』（筑摩書房）の2作品で受賞。また、『西遊記』（福音館書店）の翻訳では、日本翻訳文化賞を受賞するなど、高い評価を得ています。2010年には巖谷小波文芸賞も受賞し、その業績は広く認められました。

君島氏の著作は多岐に渡り、中国の神話や民話に関する研究書から、児童向けの翻訳作品まで、幅広い読者層を対象としています。『ふえをふく岩』（ポプラ社）、『中国の神話 天地を分けた巨人』（筑摩書房）、『月をかじる犬―中国の民話』（筑摩書房）など、多くの作品が日本の出版文化に貢献しています。また、『中国少数民族の昔話 白族民間故事伝説集』（三弥井書店）、『概説中国の少数民族』（三省堂）といった研究書も著し、中国少数民族の文化研究にも大きく貢献しました。

さらに、中国の児童文学作品を数多く翻訳し、日本の子供たちに紹介しました。張天翼の『宝のひょうたん』、賈芝と孫剣冰の『白いりゅう黒いりゅう』、肖甘牛の『月からきたトウヤーヤ』など、多くの作品が日本の児童文学界に新しい風を吹き込みました。これらの作品は、単なる翻訳にとどまらず、中国の文化や歴史、そして人々の生活を伝える上で重要な役割を果たしています。

君島久子氏は、晩年まで精力的に研究活動を行い、多くの優れた著作を残しました。彼女の研究と翻訳活動は、中国文化と日本文化の架け橋となり、両国の相互理解を深める上で重要な役割を果たしました。その功績は、今後も高く評価され、後世に引き継がれていくことでしょう。彼女の残した作品は、これからも多くの読者に感動と学びを与え続けるでしょう。

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