含水爆薬

含水爆薬とは

含水爆薬は、硝酸アンモニウムを主成分とし、5%以上の水を含有する爆薬です。水を含んでいるため、比較的安全性が高いとされています。主な種類として、スラリー爆薬とエマルション爆薬があり、いずれも耐水性を有しています。産業用爆薬として広く利用されており、その安全性とコスト効率の高さから、従来のダイナマイトに代わって主流となっています。

歴史

含水爆薬の歴史は、1956年にアメリカ合衆国のユタ大学教授メルビン・クックが、硝酸アンモニウム、アルミニウム粉末、水からなる安全な爆薬を発明したことに始まります。この爆薬はスラリー爆薬と名付けられ、事業化されました。この発明は、産業用爆薬のあり方を大きく変え、危険なダイナマイトから、より安全で耐水性のある爆薬へと移行するきっかけとなりました。

現在では、産業用爆薬の主流は、硝酸アンモニウムを主成分とした、安全かつ安価な爆薬へと移行しています。生産される爆薬の大部分は、硝安油剤爆薬（アンホ）と含水爆薬が占めています。爆薬の威力と感度は、一般的にエマルション爆薬、スラリー爆薬、硝安油剤爆薬の順に高くなっています。エマルション爆薬は雷管による起爆が可能ですが、スラリー爆薬には雷管起爆タイプと、伝爆薬（ブースター）を必要とする不起爆タイプがあります。硝安油剤爆薬は全て不起爆タイプです。

含水爆薬の種類

含水爆薬には、主に以下の2種類があります。

スラリー爆薬

スラリー爆薬は、1957年にメルビン・クックによって発明された爆薬です。水分を10〜20%、硝酸塩を60〜70%含む混合物で、泥状またはゲル状をしています。「スラリー」とは、「ドロドロした物」という意味です。威力を高めるために、アルミニウム粉末などの発熱材や、鋭感剤、架橋剤、粘稠剤などが添加されることがあります。

スラリー爆薬に使用される主な鋭感剤は以下の通りです。

モノメチルアミン硝酸塩
エチレングリコールモノナイトレート
エチレンジアミン
トリメチルアミン
* プリピルアミン

スラリー爆薬の長所は、耐水性、耐湿性が高く、安価で威力が高いことです。威力はアンホ爆薬よりも大きいですが、ダイナマイトよりは小さいとされています。しかし、威力当たりのコストが低いため、多めに使用すれば問題ありません。

短所としては、水を含むため凍結に弱いことが挙げられます。寒冷地での使用には注意が必要です。

エマルション爆薬

エマルション爆薬は、油中水型エマルションからなるゲル状の爆薬です。油相は油とワックス、水相は硝酸アンモニウムなどの硝酸塩水溶液で構成され、界面活性剤によってエマルションが形成されます。水の含有率は約10%程度です。

エマルション爆薬は、化学反応、パーライト、中空ガラスビーズ、機械的混合などの方法で、安定した微細な空気泡を含有させることで、爆発性を高めています。

まとめ

含水爆薬は、その安全性、耐水性、コスト効率の高さから、現代の産業用爆薬として重要な役割を果たしています。スラリー爆薬とエマルション爆薬は、それぞれ特徴や用途が異なりますが、いずれも安全な爆破作業に貢献しています。

使用する際には、それぞれの特性を理解し、適切な取り扱いをすることが重要です。

もう一度検索