吹上町入来

吹上町入来（ふきあげちょういりき）

吹上町入来は、鹿児島県日置市に位置する大字であり、旧薩摩国阿多郡に属していました。この地域は、日置市の南端に位置し、伊作川の河口付近に広がっています。北には吹上町今田、南には南さつま市金峰町大野、東には吹上町中之里が隣接しており、西は東シナ海に面しています。

地理と自然

吹上町入来の西側には、美しい吹上浜砂丘が広がっており、海岸沿いには防砂林として松林が形成されています。かつては農業が中心でしたが、入来浜に漁港が整備されたことで、沿岸漁業も盛んに行われるようになりました。吹上浜は、シーズン中には潮干狩りや地曳網体験、海水浴などのレジャーで賑わい、多くの人々が訪れます。

歴史

古代

この地からは、弥生時代から古墳時代にかけての集落遺跡が発掘されています。伊作川下流域の水田地帯にある台地上に位置し、住居跡や石器、土器などが発見されており、弥生中期初頭の入来式土器の標式遺跡としても知られています。しかし、調査対象地の多くが未調査のまま破壊され、その歴史の一部は失われています。

中世から江戸時代

入来という地名は、鎌倉時代から見られ、薩摩国伊作庄（荘）内の名田名でした。当時は入来名、入木村、入来別符などとも呼ばれていました。江戸時代には、薩摩国阿多郡伊作郷に属し、村高は時代によって変動しましたが、文化3年頃には入来浜の浦人が418人おり、漁業が盛んであったことが記録されています。

近代から現代

1889年の町村制施行により、入来村は伊作村の大字となり、その後、伊作町を経て吹上町の大字となりました。1999年には、字域の一部が編入・分離されました。2005年には、吹上町が他の町村と合併して日置市となり、大字名は「吹上町入来」に改称されました。

交通と施設

かつては鹿児島交通枕崎線が字域の東部を通っており、南吹上浜駅が設置されていましたが、1984年の路線廃止に伴い廃駅となりました。現在、主要な道路としては、鹿児島県道2号加世田日吉自転車道線（吹上浜砂丘自転車道）があります。

また、地域内には入来浜漁協があり、かつては吹上小学校がありましたが、1985年に伊作小学校に統合され廃校となっています。

人口

2020年10月1日現在の人口は398人、世帯数は200世帯です。

まとめ

吹上町入来は、豊かな自然と歴史を持つ地域であり、古代からの集落の歴史、中世から近世にかけての変遷、そして現代に至るまでの変化を経験してきました。美しい吹上浜を擁し、農業と漁業が営まれてきたこの地は、現在もその歴史と自然を守りながら、地域の人々によって支えられています。

参考文献

『日本歴史地名体系 47 鹿児島県の地名』平凡社、1998年。
『角川日本地名大辞典 46 鹿児島県』角川書店、1983年。

関連項目

* 入来（曖昧さ回避ページ）

もう一度検索